会場の7割が自動車と関連企業が占めた「からくり改善くふう展2016」

2016年10月08日 20:17

 2016年9月29日~30日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で「からくり改善くふう展2016」が開催された。この見本市は、製造現場で「お金をかけない、創造性に優れた、楽しい作業改善」を広く発表する展示会として、1994年より公益社団法人日本プラントメンテナンス協会の主催で開催されてきた。

 本年も同展示会に参加展示する企業・団体はさまざまだが、展示会場の面積の7割ほどが、自動車メーカーとその部品関連会社で占められていた。

 自動車最大手のトヨタ自動車は、関連会社のダイハツ、富士重工業、アイシン精機、デンソートヨタ車体、トヨタ紡織のほか、トヨタの海外現地法人も参加する熱の入れようだった。このトヨタ関連企業を含めた展示面積は、会場の5割ほどを占める。

 トヨタ本体は14作品を投入、トヨタ紡織やアイシンも10作品以上を展示した。なかで注目を集めていたのが、デンソーが展示した「らくらくパレットクレーンⅡ」で、12kgの樹脂製パレットを1日200枚以上移動させるために開発した簡易クレーン。重いパレットに直接触らずに移動させる37の要素動作を電気を使わずに行なう装置だ。デンソーでは、この「らくらくパレットクレーンⅡ」を自社だけでなく、外部企業にも販売する用意があるという。

 一方、横浜工場など国内5工場が参加した日産自動車は、合計36作品を展示。無人部品搬送システムの模型が注目だった。

 2000年から参加するマツダとその関連企業としてNSウエスト株式会社、株式会社日本クライメイトシステムズ、ダイキョーニシカワ株式会社に加えて、今回初めて株式会社ヒロテックが出品した。

 この取り組みは、本社工場および防府工場で、育成プロジェクト「からくり改善道場」を部門横断的に展開し、2006年からマツダ関連企業の改善活動の一環として「J-ABCからくり改善道場」を開催し、グループ全体の取り組みに発展させているという。今回、マツダグループ全体で、15作品を展示した。

 異色なのは大阪の製薬会社である小林製薬。製造現場に小さな部品や小型資材を供給するための折りたたみ式プラスティックコンテナの処理収納機械を展示。製造現場で空になったコンテナを“人力で折りたたむのは無駄”という発想で、機械に放り込むだけで、自動的に折りたたみ、重ねて収納する。担当者の話では、「(コンテナを)組み立てる機械は他社から数種類出ている。でも、折りたたむ機械はなかったので、作ってみた」とのこと。

 「からくり改善くふう展」の意味は、前述したマツダの「作業にかかる負担・時間・コストなどを減らすことによる効率化と、作業者のアイデアを採用することによるモチベーションの向上が、高品質な製品づくりにつながる」とした意見が集約している。参加した各社は、今後とも改善活動を積極的に推進するとしている。(編集担当:吉田恒)