【今週の振り返り】終値で17000円台に乗せても3.72円下落の週

2016年10月15日 20:08

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SQ週の火曜、水曜の「鬼門」無事通過と思いきや、木曜になってフェイント攻撃。ハリケーンのような激しい雨と風に吹かれて転がる石のように急落しても、ゴチャマゼの混乱にはならず。

 11日の日経平均は大幅反発。前週末7日に発表されたアメリカの9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びは市場予測の17.2万人増を1.6万人下回る15.6万人増。完全失業率は8月および市場予測の4.9%から0.1ポイント悪化し5.0%、平均時給は前月比で市場予測の+0.3%を下回る+0.2%と、ことごとく悪かった。12月の利上げにはブレーキだが、12月のFOMCまでに雇用統計の発表はあと2回ある。NY市場は指標への失望と利上げへの思惑が複雑に交錯したが、原油先物価格の下落もありダウ終値は28ドル安。為替はNY時間でドル円が103円近辺、ユーロ円が115円台前半まで円高が進行した。CME先物清算値は16785円。大阪夜間取引終値は16790円だった。

 9日、アメリカ大統領選挙の第2回テレビ討論がセントルイスで行われた。共和党幹部が反発したトランプ氏の女性蔑視発言などへの個人攻撃が目立ち、政策論争は深まらなかった。トランプ氏は副大統領候補ペンス氏の発言まで否定し、共和党大物議員も敵に回しかねない状況。世論調査は「クリントン氏優勢」で変わらない。ノーベル経済学賞はハーバード大学のオリバー・ハート教授と、マサチューセッツ工科大学(MIT)のベント・ホルムストロム教授が受賞。授賞理由は「契約理論への貢献」。

 週明け10日の国慶節休暇明けの上海総合指数は1.45%高、アメリカは「先住民の日」「コロンバス・デー」の祝日でNY外為市場と債券市場は休場。株式市場は開き、ロシアのプーチン大統領がOPECと連携して原油を減産すると表明して原油先物価格が年初来高値の51ドル台半ばまで上昇したのを好感してNYダウは88ドル高。3営業日ぶりの上昇。朝方の為替レートはドル円が103円後半、ユーロ円が115円台前半と円安方向に戻る。シカゴCME日経平均先物(円建て)清算値は16950円。大阪夜間取引は休場。

 日経平均始値は76円高の16936円。高値は10時40分の17074円。安値は9時1分の16931円。終値は164円高の17024円。取引時間前に発表された8月の国際収支は、経常収支が2兆8億円の26カ月連続の黒字。日経平均は16900円台前半で始まるが、ドル円が円安方向に振れて104円に接近すると、序盤からいきなり上値追いし17000円に急接近。9時13分についにタッチした。ザラ場では9月9日以来。9時30分までに9月のメジャーSQ値の17011円も突破し、週末にSQ日を控え幸先のいい話。原油高とともに「トランプ・リスクの後退」が効いているが、もし共和党内から総スカンのトランプ氏が立候補を取りやめたら、テレビ討論で好感度が高かった副大統領候補はクリントン氏の強敵になりかねず、予想外の展開で「ペンス・リスク」の心配がある。日経平均は17000円台で安定し、10時に17050円を一時超え、10時台も徐々に高値追い。スマホ世界シェア1位のサムスン電子の「Galaxy」の新型端末から火が出て製造中止になったが、村田製作所<6981>など電子部品関連銘柄は軒並み上昇。どこもサムスンよりアップルのほうが部品の納入が多く、サムスンの穴をアップルが埋めるとみられるため。11時台は少し凹んでも17000円台は堅持し、前引けは195円高の17055円だった。日銀のETF買いの可能性はまずなくなった。

 後場は0時台に17000円を割り込む場面があったが、1時台は高値更新こそしないが17000円を少し上回る水準で安定。ドル円も103円台後半で安定。2時に内閣府から9月の景気ウォッチャー調査の結果が発表された。現状判断指数は44.8で、前月比-0.8ポイントで3ヵ月ぶりの悪化。先行判断指数は48.5で+1.1ポイント上昇した。3ヵ月連続のプラス。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置き。9月は日本列島に台風が何度も襲来したため街角景気のマイナスは「織り込み済み」だったらしく、むしろ「この程度ですんだ」でドル円は一時104円タッチ。2時台の日経平均は反応がないまま大引け。終値17000円台は9月7日以来。前日比の上昇幅が一時200円を超えて高値警戒感も出そうで、「SQ週の火曜日」で為替の円高を伴った先物主導の仕掛け売りが入る恐れもあったが、取り越し苦労だった。

 7日のジャスダックの新規IPOで、上場当日は初値がつかなかったキャピタル・アセット・プランニング<3965>に初値がついた。公開価格2000円の2.3倍の4600円。金融機関が主な顧客のITシステムベンダーで、「フィンテック」関連とみられて人気化した。

 日経平均終値は164.67円高の17024.76円、TOPIX終値は+5.74の1356.35。売買高は16億株、売買代金は1兆8711億円と薄商いが続く。値上がり銘柄数は1132、値下がり銘柄数は699。プラスは23業種で、その上位は鉱業、石油・石炭、海運、水産・農林、情報・通信、非鉄金属など。マイナスは10業種で、その下位は空運、その他金融、鉄鋼、その他製品、ゴム製品、銀行など。上海総合指数は0.56%高だった。

 12日の日経平均は大幅反落。ヨーロッパ株も金先物も反落。原油先物も50ドル台に反落。労働市場情勢指数(LMCI)は予想外の悪化で中小企業楽観指数も悪く、決算シーズンの先頭打者、アルミメーカーのアルコアの決算は減収増益で市場予測を下回った。ロイターのS&P500トータルの7~9月期決算予測は0.7%減。小さな悪材料が重なってNYダウは200ドルの大幅安。リスクオフで朝方の為替レートはドル円が103円台半ば、ユーロ円が114円台前半とやや円高。CME先物清算値は16885円。大阪夜間取引終値は16880円。

 日経平均始値は174円安の16850円。高値は10時45分の16951円。安値は2時57分の16839円。終値は184円安の16840円。取引開始前に発表された機械受注統計は-2.2%だが市場予測の-5.5%ほど悪くなかった。基調判断は「持ち直しの動きがみられる」で据え置き。「SQ週の水曜日」の日経平均は174円安で始まる。為替のドル円は103円台前半へ円高が進むが、序盤には16900円台に乗せてマイナスでも底堅く、下げ渋り。10時台も11時台も16900円台をキープし、16950円にタッチする時間帯もあったがプラス浮上は遠い。11時台に徐々に水準を下げるが、SQ週の需給がらみの仕掛け売りでドンと下がる現象はみられない。静かな展開のまま前引けは98円安で、日銀のETF買いが2週間ぶりに発動する条件が整った。

 後場も、少し下げても16900円台をキープして再開するが、0時台のうちに16900円を割り込む。「情け無用の仕掛け売りがやって来たか?」と思わせたが、1時台は16800円台後半で踏みとどまる。その間もドル円は103円台半ばで小動きするだけ。メガバンクは下げ幅拡大。2時台になると16900円台に戻る場面もあったが、ドル円の円安に逆行して終盤には急落し16850円を割り込む。大引けまで少しずつ下落が続いてほぼ安値圏で終えた。日銀のETF買いは入らなかった。9月30日を最後に10月は一度も発動されていないので、「出し惜しみするな」と批判されるかもしれない。