【今週の振り返り】連日の3ケタの上げ下げの末304円下落した週

2016年10月01日 08:58

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薄商い、株価低迷が続いた東京市場も、OPECの8年ぶりの増産凍結合意で、渋かった海外投資家の気前が良くなった。だが、伏魔殿?ドイツ銀行が水をかける。

 26日の日経平均は大幅続落。23日のNYダウ終値は4日ぶりに反落し131ドル安。原油先物価格の44ドル台への下落が響いた。グーグルによって買収される話が出て、最近いいことがないツイッター株が上昇。NY時間のドル円は101円近辺、ユーロ円は113円台前半。CME先物清算値は16580円、大阪先物夜間取引終値は16600円で、配当権利落ち分110~120円を加えると16690~16720円。26日朝方の為替レートはドル円が101円近辺、ユーロ円が113円台前半。

 日経平均始値は46円安の16707円。高値は始値で「寄り天(寄り高)」。安値は2時55分の16514円。終値は209円安の16544円。取引時間前に日銀が発表した4~6月期の資金循環統計速報によると、家計の金融資産は2四半期連続で減少し6月末現在で-1.7%の1746兆円だった。8時45分に16500円台後半で始まった先物を反映して日経平均現物は16700円を少し超えてスタートするが、25日移動平均線の16722円には届かず、「寄り高」で下落し16600円台半ばに。ドル円も少し円高に振れた。10時台には一段安で16600円台前半に。日米中央銀行イベントの祭りのあとの淋しさがいやでもやってくる? 11時台に16600円割れ寸前までいくがかろうじて保って前引け。141円安なので日銀のETF買いが入る可能性が高くなった。

 臨時国会が召集され、安倍首相が午後、所信表明演説を行った。経済政策の焦点は28.1兆円の経済対策の裏付けの第2次補正予算とTPP。後場は前引け水準で再開し、ドル円が101円近辺まで円安方向に戻ってしばらく16600円台前半で推移していたが、1時30分頃から16600円を割り込んで軟調に。OPEC非公式協議などエネルギー関係の会合が続く週なので、原油安懸念で海外勢が手控えて薄商い。アメリカ大統領選挙のテレビ討論も様子見したい要素。16600円をはさんだ値動きが2時台前半まで続くが、黒田日銀総裁が大阪での記者会見でマイナス金利の深掘りと長期金利の操作目標引き下げに言及したのが悪く解釈され、終盤になるとドル円の100円台での円高進行と連動してどんどん下げ、もう少しで日足一目均衡表の「雲」の中に落ちて16500円を割りそうになる。日銀のETF買いの733億円が入っていたが、黒田総裁の発言が相殺するという皮肉。大引けまでに30円ほど戻して雲からは離れたが、前日比-200円を超えるマイナスで引けた。

 新規IPOが1件。サーバー管理型プリペイドカード、ギフトカードシステムの提供、関連機器、カードなどの販売を行うバリューデザイン<3960>が東証マザーズに新規上場。公開価格2040円の2.11倍の4315円の初値がつき、会心の白星。

 日経平均終値は209.46円安の16544.56円、TOPIX終値は-13.72の1335.84。売買高は15億株、売買代金は1兆6944億円。値上がり銘柄数は527、値下がり銘柄数は1326。プラスは医薬品、繊維の2業種。マイナスは31業種で、その下位は保険、鉱業、空運、海運、銀行、非鉄金属など。上海総合指数は1.76%の大幅安だった。

 27日の日経平均は大幅反発。ブルームバーグが「メルケル首相が公的支援の可能性を否定」と報じて信用不安が再燃しドイツ銀行株が急落。それがフランクフルト市場を筆頭にヨーロッパの空気を悪くして全面安。週明けのNY市場にも影響し、金融セクターを中心にダウ終値は166ドルの大幅安。影響は例のイタリアのシエナの銀行の比ではなく、原油先物価格が反発しても焼け石に水だった。朝方の為替レートはドル円が100円台前半、ユーロ円が112円台後半。CME先物清算値は16280円、大阪夜間取引終値は16300円で、配当権利落ち分110~120円を加えると16390~16420円。

 日経平均始値は153円安の16390円。高値は終値で「高値引け」。安値は9時16分の16285円。終値は139円高の16683円。3月期決算銘柄の中間期の「権利付き最終売買日」の日経平均は16400円を割り込んでスタート。序盤はドル円が今にも100円を割りそうになると一時16300円を割り「ドイツ銀行ショック」が地球を周回。その後は為替レートが元に戻り、前日比で200円以上安い16300円台前半を保ちながら、10時にニューヨーク州ヘンプステッドで始まるアメリカ大統領選挙の第1回テレビ討論を息を殺して待つ。90分間の予定で東京の前場ザラ場にもろにかぶった。いざ始まると、10時台は右肩上がりでどんどん上昇。ドル円も円安方向に進む。11時台はマイナス圏ながら16500円付近で安定。前引けは安値から200円以上も戻して54円安。それでも日銀のETF買いが入るには十分な安値水準だった。

 もし、クリントン氏が政策の細かい点をキリキリ批判されて守勢に立ったら為替、株価は「悪材料」視していたはず。過激発言を「放送」するばかりだったトランプ氏が、誰かの手ほどきで政策追及の「ディベート術」に目覚めたら怖かったが、トランプ氏は政策では自分の主張を繰り返すばかりで追及はいまいち。発言も控えめで心配は無用だった。人間、そんなに簡単には変われない。トランプ氏の〃仮想敵国〃メキシコの通貨ペソのレートが対ドルで上昇するなど、マーケットはクリントン氏リードと判定したような反応。「イベントは、通過することそれ自体に意義がある」が再び繰り返され、日経平均は回復した。

 後場はわずかなマイナスで始まるが、直後からプラス圏に変わり高値更新。1時台にかけては16600円付近で小動きする。プラス圏を保てるのは日銀のETF買い733億円が入ったおかげか? 2時台に水準を少し上げて高値を更新する時間帯があったが、16650円に届かない。ドル円は101円近くまでいくが、タッチしない。業種別では株主優待で人気セクターの水産・農林、食料品(自社製食品)、空運(航空券)が上位で、権利付き最終売買日らしい権利取りの買いも入っている模様。「食べ物の恨みは怖い」の反対で、もらってうれしい株主優待は食べ物か? しかしサービス(食事券、施設利用券)、陸運(回数券)、繊維(自社製衣料)、小売(買物券)は下位で、明暗が分かれた。しかし、終盤になると為替を置いたまま日経平均はどんどん高値を更新し続け、日足一目均衡表の雲の上限16565円を突破。最後はTOPIXとともに高値引け。日中値幅は398円もあった。

 新規IPOが2件。モビリティ、IoT、ビッグデータ、クラウド、セキュリティなどのテクノロジーを活用するサービス、IT人材育成のための研修の提供を行うチェンジ<3962>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず、公開価格1200円の2.3倍の2760円の買い気配で終了し、翌日に持ち越した。AI(人工知能)技術をベースとしたウェブマーケティングサービスの開発・提供を行うシルバーエッグ・テクノロジー<3961>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず、公開価格900円の2.3倍の2070円の買い気配で終了し、翌日に持ち越した。ともにコンテンツベースではなくテクノロジーベースのIT・ネット関連銘柄で、投資家人気が高かった。

 日経平均終値は139.37円高の16683.93円、TOPIX終値は+13.38の1349.22。売買高は22億株、売買代金は2兆2946億円でともに大台を回復し、最近としては活発な商い。値上がり銘柄数は1557、値下がり銘柄数は315。プラスは31業種で、その上位は鉱業、非鉄金属、石油・石炭、水産・農林、電気・ガス、食料品など。マイナスはドイツ銀行ショックの影響で銀行、証券の2業種。上海総合指数は0.59%高で3営業日ぶりに反発した。

 28日の日経平均は大幅反落。NYダウは133ドル高で前日の約8割戻し。大統領選挙の第1回テレビ討論は直後の世論調査で「クリントン氏優勢」の見方が約6割と有力。「何をするかわからない」トランプ氏よりウォール街は好感する。ドイツ銀行の不安を引きずってヨーロッパ市場は続落で、イランが減産に応じない姿勢で原油先物価格も軟調だったが、9月の消費者信頼感指数が予想外の好調だったことにも後押しされた。朝方の為替レートはドル円が100円台前半、ユーロ円が112円台半ば。CME先物清算値は16465円、大阪夜間取引終値は16480円。