【今週の振り返り】日銀追加緩和を一応評価して234円上昇した週

2016年09月24日 10:12

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日銀会合は債券オペ中心の追加緩和で、マイナス金利の深掘りはなし。FOMCは利上げを12月まで見送った。日本株にとっては、ひとまず安心の結果

 20日の日経平均は小幅反落。前週末16日のNYダウ終値は88ドル安でNASDAQもマイナス。消費者物価指数(CPI)は+0.2%で市場予測を上回り、インフレ率改善を印象づけた。原油先物価格が下落してエネルギーセクターが安く、ドイツ銀行が司法省に和解金140億ドルを支払って金融セクターが売られたが、それほど深刻ではなく為替のドル円は102円台を堅持。CME先物清算値は16240円、大阪の先物夜間取引終値は16250円。

 17日夜、国連総会開会中のNY市内と周辺4ヵ所で爆弾テロ発生。チェルシー地区の小型の手製爆弾では死者1名。容疑者はニュージャージー州で銃撃戦の末、身柄を確保された。中秋節の連休明けの上海総合指数は0.79%高。ヨーロッパ市場も堅調だったが原油先物価格が不安定で週明け19日のNYダウは3.63ドル安。NASDAQもマイナスでもテロの影響は限定的だった。朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が113円台後半で前週末より円高が進行。大阪取引所は休場。CME先物清算値は16245円で、配当権利落ち分を足すと16355~16365円でほぼ75日移動平均線のレベルだった。

「東京ゲームショウ2016」が18日に閉幕し総来場者数は過去最多の27万1224人。日経平均始値は116円安の16403円。高値は10時40分の16591円。安値は始値で「寄り安」。終値は27円安の16492円。序盤はマイナス幅を圧縮し高値を更新する強い展開。「マイナス金利の深掘りはない」という観測で長期金利が上昇、メガバンクが買われてTOPIXが先にプラスに変わり、9時台後半には日経平均も一時プラスにタッチ。16500円前後の短い踊り場の後、10時台はプラス圏に浮上して高値を更新し16600円に迫る。為替のドル円が102円、ユーロ円が114円にタッチした円安進行が支援材料。この日からの日銀会合に少しは期待しているか? プロ野球のセ・リーグでベイスターズが3位以上確定で初のクライマックス・シリーズ進出でDeNA<2432>が5%を超える急騰。自動運転車の公道試験開始という新聞報道もあり。しばらく16500円台後半を守るが前引け直前に急落。それでもプラス圏を維持して前引けは18円高、TOPIXはプラスで、この日も日銀のETF買いの出番はなかった。

 後場はやや高く16550円付近で再開し、0時台は16550円前後のプラス圏で静かに動くが、為替が円高方向に反転すると1時台には日経平均がマイナスに落ちる。しかしTOPIXはプラスが続く。日銀のETF買いを日経平均型からTOPIX型にシフトするという報道があったからか? 1時台も2時台も16500円前後の小幅マイナス圏で、為替も動かない。終盤は徐々に水準を下げるが大引けで16500円近くまでピンとはね上がり、小幅安で終了。TOPIXはプラスで続伸していた。

 日経平均終値は27.14円安の16492.15円、TOPIX終値は+5.47の1316.97。売買高は17億株、売買代金は2兆749億円で2兆円超え。TOPIXがプラスなので値上がり銘柄数は932で値下がり銘柄数876よりも多かった。プラスは22業種で、上位は電気・ガス、情報・通信、ゴム製品、卸売、その他製品、金属製品など。マイナスは11業種で、下位は鉱業、鉄鋼、保険、倉庫、海運、建設など。上海総合指数は0.10%安だった。

 21日の日経平均は大幅反発。アメリカの住宅着工件数は3ヵ月ぶりのマイナスで市場予測を下回り、利上げの足を引っ張る。NYダウは高く始まりながら日米中央銀行イベント結果待ちの様子見で一進一退になり、大引けで大きく下げ終値9.79ドル高。NASDAQはプラス。朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が113円台半ばで前日並み。CME先物清算値は16335円。大阪夜間取引終値は16350円。予想配当権利落ち分110~120円を足すと16445~16470円で、前場は16500円台の攻防になりそうな気配。

 日経平均始値は20円安の16471円。高値は2時59分の16823円。安値は10時54分の16399円。終値は315円高の16807円。国土交通省発表の7月1日付基準地価は全国商業地が9年ぶりの上昇。全用途は25年連続マイナス。8月の全国コンビニ既存店売上高は+0.6%で3ヵ月連続プラス。平均客単価は+1.2%で17ヵ月連続プラスと好調持続。取引開始前に財務省から8月の貿易統計速報値が発表され、貿易収支は187億円の赤字で赤字は3ヵ月ぶり。2000億円の黒字という市場予測を大きく下回った。為替レートはいったん円高に振れた後に戻る。正午すぎに日銀会合、深夜にFOMCの結果が発表される「運命の日」の日経平均始値は20円安でスタート。9時台は16416円で底を打って上昇に転じる。ドル円は101円台後半でもみあい。基準地価を好感した不動産セクター、8月の販売実績を好感した小売セクターが買われる。しかしプラス圏は届かず、10時台は徐々に16400円台前半まで水準を下げ、瞬間16400円割れ。日銀会合の結果発表待ちの重苦しい空気が漂う中、80円安で前引け。「特別な日」ではあるが、マイナスなので日銀のETF買いが入る条件は満たした。

 後場は下げ幅を圧縮し再開。日銀会合の結果発表が遅れ、「遅いと何かある」という思惑で上昇しプラス圏に浮上し16500円も16550円も突破。ドル円も102円に接近。1時を回ってもまだ結果が出ず、16500円台前半で膠着する。先物も現物も売買は薄い。1時18分に先物がまず暴落して株価、為替の乱高下が始まる。16400円を割りそうになった後、元の位置の16500円台前半に。マイナスだった長期金利は0%を超えてプラスに。

 発表された日銀会合の結果は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」。債券の売買オペレーションで長期金利と短期金利の差をひろげる話で、マイナス金利政策もETF買入枠もいじらない。長短金利を操作する「イールドカーブ・コントロール」、インフレ目標値2%を達成してもマネタリーベースを拡大し続ける「オーバーシュート型コミットメント」がその2本柱。「金融政策の総括的な検証」をめぐる事前の報道がすさまじかったので、「大山鳴動してネズミ一匹」ほど小さくはないものの、「ネコ一匹」ぐらいのまさに「プチ緩和」。それでもマイナス金利の深掘りによる追加の「ムチ打ち」を回避した金融セクターを中心に上昇して日経平均は一時16700円台にタッチ。為替のドル円は102円台半ばまで円安が進行する。日銀プレイセクターだけでなく、円安で外需関連も揃ってプラスに転じる。

 台風が日本列島にやたらに接近・上陸していた8月の食品スーパー売上高は-1.7%、全国スーパー売上高は-2.9%と悪かったが、2時台の日経平均はさらに上昇し高値更新。ドル円も102円台後半まで円安進行。しかし「0%程度に誘導する」追加緩和の核心、長期金利は再びマイナスになるという皮肉。終盤も日経平均の上昇の勢いは止まらず、16800円を突破。銀行株の騰落の影響が大きいTOPIXはそれ以上の勢いで1350を突破。日銀はETF買いのうち2.7兆円をTOPIX型にシフトするとも発表していた。もみあった末、大引けで日経平均は7営業日ぶりの16800円台、TOPIXは1350台を確保して終える。日中値幅は424円もあった。後場は大幅高でも日銀のETF買い入れは733億円、律儀に3営業日ぶりに実施されていた。