セブン-イレブン・ジャパンは「スポット保育」の試験運用を3つのエリアで開始した。「スポット保育」はカレンダー通りではない同社の勤務形態に合わせ、臨時の保育施設を設置する子育てサポートである。国や自治体のみならず、企業としても子育て中の社員のサポートをすることが期待される。
セブン-イレブン・ジャパン<3382>は10月10日より新たなしくみとして「スポット保育」の試験運用を3つのエリアで開始した。「スポット保育」とは子育て中の社員に向けた取り組みで、勤務先にある会議室などを臨時の保育施設にすることで仕事をサポートし、存分に活躍できる環境を作ることを目的としている。保育施設は保育施設運用業者に委託し、あずけ先は勤務先、もしくは近隣になるので利用者に負担が少なく安心して勤務することが可能である。
「スポット保育」運用の背景には、いわゆるカレンダー通りではない同社の勤務形態があった。フランチャイズチェーンの本部という特性上、祝日や年末年始は繁忙期にあたり基本的に勤務日になる。しかし、そのような時は保育園などの保育施設や小学校は休日となる。このギャップは特に小学生以下から低学年の小さな子どものいる社員にとって大きな負担となり、実質勤務が困難となるケースもあったという。
しかしながら、同社の女性社員が活躍の場は着実に広がっていた。加盟店の経営相談員の数は2011年に比べて15年は約2.7倍、管理職は約1.1倍にもなっている。子育ては男女が協力して行うべきという認識が一般的になり、「スポット保育」も性別は問わずに利用することができるが未だに子育ての主軸は女性であることが多い。そのような状況の中で、子育てに対するサポートは企業としても急務であっただろうと考えられる。
現在、国や自治体は子育てに関する問題の対応に追われている。その中で議論されている「子育て中の社員」の勤務形態はどうしても多数派のものになりやすい。例外として変則的な勤務形態に就いている会社員は、国や自治体のサポートをうまく受けられない可能性すら出てくるのだ。そのため、企業がその勤務形態に合わせた子育てサポートを行っていくことはとても重要なことである。今後は「スポット保育」のように、その企業に合わせた子育てサポートの整備が進むことが期待される。(編集担当:久保田雄城)