待機児童東京都内で特に増加、背景には都市部への人口流入も

2016年09月08日 08:02

画・待機児童都内て_特に増加、背景には人口流入も

9月2日、厚生労働省は待機児童が2年連続増加していると発表した。その数は実に2万3553人。認可保育園に入れずに育休を延長している場合などを除いた数なので、実際は更に多い。特に東京都の待機児童の数は多く、「待機児童ゼロ」の安倍政権の政策は実現が難しいだろう。

安倍政権は、2017年度末までに待機児童をゼロにするという政策を掲げている。しかし9月2日、厚生労働省が発表した待機児童の数は2万3553人で、2年連続増加している。このうち3分の1は東京都内に集中している。安倍政権の「待機児童ゼロ」政策は、達成が厳しいと言われているが、東京以外の地域では待機児童がいない地域も珍しくない。青森・鳥取・宮崎・新潟・富山・石川・長野・香川・福井・山梨がそれらの地域だ。他に、群馬・岐阜・佐賀なども待機児童が少ない地域である。

 ただし、待機児童ゼロと言っても、認可外保育所に通いながら認可保育所へ入る日を待っている子供や第一希望以外の保育所への入園を辞退している子供、そして求職中の家庭や認可保育所に入れず育児休業を延長している家庭などがカウントされていない場合もある。そうしたことを考えに入れたとしても、やはり待機児童ゼロの地域というのは保育園に入れない家庭にしてみればうらやましい限りだろう。

 総務省によると、日本全体で、0歳から4歳までの子供は、14年までの5年間で9万5千人減少している。しかし、東京都は3万人増加している。このことから、東京都への人口流入が更に増えていることは明らかだ。保育園に入れないから東京都から地方へ移住するということが簡単にできればいいのだが、実際はそうはいかない。希望の仕事が地方には少ないなどの理由で東京への人口流入は止まらない。しかし、待機児童が少ない地方にIターンやUターンすることは、地域の活性化の一助ともなる可能性がある。地方への移住政策を進めることが、待機児童を大幅に減らす手立てとなるのではなかろうか。

 子供を産んでも働く女性が増えているということは、女性がいつでも、いつまでも活躍できる社会に一歩近づいたということでもある。地方でも女性が輝ける社会になれば、同時に待機児童は減るはずだ。地方活性の協議とともに待機児童の問題が議論されることが望まれる。(編集担当:久保田雄城)