小池知事の保育所対策、5000人分解消に期待

2016年09月22日 12:38

画・小池知事の保育所対策、5000人分解消に期待

小池都知事は9月9日、定例記者会見で待機児童を5000人分解消する目標で、空き家や空き室を活用した保育所新規開設を目指す取り組みなどの方針を発表した。全国の待機児童の3分の1以上を占める東京都の待機児童を減らす手立てとなることが期待される。

 2016年4月現在、東京都の待機児童の数は8466人にのぼっている。これは、全国の待機児童数の3分の1以上にあたり、深刻な問題となっている。小池知事は、9月9日の定例記者会見で、空き家・空き店舗を借りて保育所事業を始める事業者に補助を出したり、認可外保育所の利用者に補助を出したりする方針を発表した。加えて、保育所職員の家賃補助も対象拡大をはかる。126億円の補正予算案を28日に開会の都議会定例会に提案する予定。

 空き家や空き店舗の保育所への活用に関しては、家賃の4分の3を5年間補助する方針。また、改修などで新しく保育所を設ける際には補助額が上乗せされる。小池知事は、東京都内には空き家・空き室が82万戸あるとし、それを有効利用しようとしている。開園にあたって都から補助が出るとなれば、新規開園の後押しとなる可能性は極めて高い。

 保育所職員の家賃補助に関しては、数年前から採用5年目以内の保育士に限って社員寮の家賃補助が行われていた。しかし、今回小池知事は家賃補助の対象を全ての保育士に拡大する方針を打ち出した。家賃補助は、実質的に保育士の待遇改善になる。保育士給与の増額までは踏み込んでいないものの、保育士増加への布石になることは想像にかたくない。

 小池知事は、今回の提案により東京都内の待機児童を5000人減らす考えだ。政策としてかなり実現性の高いものになっていると思われる今回の提案に期待できるものはかなり大きい。来年の4月には間に合わないかもしれないが、じわりじわりと効果が出てくる施策が出されたと考えて間違いないだろう。表面に出てくる数字の裏にも、求職中の家庭や認可保育所に入れず育休を延長している場合、また認可外保育所に通いながら認可保育所に入れる日を待っている家庭などの数字を合わせると膨大な数の待機児童がいると言われている。それらの隠れ待機児童を含めての待機児童対策が待たれる昨今、保育士給与の増額など更なる対策も期待されている。(編集担当:久保田雄城)