化学業界 特許資産規模ランキングトップは富士フイルム

2016年11月02日 07:24

 パテント・リザルトは、独自に分類した「化学」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「化学業界 特許資産規模ランキング」をまとめた。2015年4月1日から2016年3月末までの1年間に登録された特許を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を用いた評価を行い、企業ごとに総合得点を集計した。このランキングにより、件数比較では見られない、特許総合力の評価が可能になるという。その結果、1位 は富士フイルム、2位は積水化学工業、3位は花王となった。

 1位の富士フイルムの注目度の高い特許には、「モールド剥離時のパターン剥がれが抑制されたインプリント用硬化性組成物」や、「急性骨髄性白血病(AML)治療薬として有用なチロシンキナーゼ3(FLT3)阻害剤」に関する技術などが挙げられ、どちらの特許も日本国内だけでなく、複数の国への出願がみられる。

 積水化学工業は昨年から3つ順位を上げ2位となった。同社は「安定した接合強度を得ることができ、接着剤による受口部分と差口部分との接着が不要な、スリーブの端部同士の接合構造」や、「薄くても、被着体に対して充分な粘着力(剥がれにくく、粘着剤が壊れにくい)を持つ粘着テープ」に関する技術などが注目度の高い特許として挙げられる。

 3位の花王の注目度の高い特許には「歯の耐酸性を向上させ、むし歯の抑制効果に優れた歯磨剤」や「潤滑油精製などで利用されるフルフラールをバイオマス原料から高い収率で製造する方法」などがある。

 積水化学工業のほか、前年から順位を上げた企業には、ユニ・チャーム、LG Chem(韓)、日立化成、住友化学が挙げられる。17位から6位へと10以上順位を上げたユニ・チャームは「繊細で柔らかな、肌になじむような感触を得ることができる、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどに使用される不織布」に関する技術などが注目度の高い特許として挙げられる。(編集担当:慶尾六郎)