パンツタイプ歩行支援ロボット 脳卒中のリハビリで応用も

2016年08月12日 08:56

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信州大学が開発する生活支援ロボット「curara(くらら)」は、装着タイプの動作支援ロボットで下肢モデル、上肢モデルがそれぞれ独立している。同ロボットの特徴は、「神経振動子」と呼ばれる部品を使って同調制御することで、筋電電極を貼りつけることなく人の動きを検知し、自然で無理のない動作補助が可能となる。

 介護職や医療職の人材不足が深刻化するなか、生活支援ロボットへの期待が高まっている。無形資産の調査・分析サービスを提供するアスタミューゼが企業・特許情報等ビッグデータ分析を通じて分類した、有望成長市場180のうちのひとつに介護/生活支援ロボット市場がある。

 生活支援ロボットは、要介護者や障碍者、入院患者などの歩行安定、移乗、入浴介助、食事支援など、人がする生活支援を代行するロボットで、パワーや安定性だけでなく、利用者の動きに合わせた繊細で緻密な動きが求められる。生活支援ロボットには、パワーアシストスーツのように利用者が装着するタイプのものや、電動車イスのような1~2人乗り電気自動車、規定の時間に薬を提供する服薬支援ロボ ットや、視覚障碍者などを先導する盲導犬ロボットなど、利用用途に合わせたものが開発されており、介護・医療・生活場面での課題解決を担っている。

 信州大学が開発する生活支援ロボット「curara(くらら)」は、装着タイプの動作支援ロボットで下肢モデル、上肢モデルがそれぞれ独立している。同ロボットの特徴は、「神経振動子」と呼ばれる部品を使って同調制御することで、筋電電極を貼りつけることなく人の動きを検知し、自然で無理のない動作補助が可能となる。例えば下肢モデルのパンツタイプのロボットを装着することで歩行を支援し、体に大きな負荷をかけず動くことが可能となる。実用を検討されている分野のひとつに脳卒中でのリハビリがあり、同ロボットを装着することで片麻痺を発症した患者のリハビリが効果的に実践できるとのこと。同ロボットは2019年の実用化を目指している。

 類似分野で注目される研究テーマでは、小型高推力スパイラルモータを活用した安全な運動支援システム(横浜国立大学)や関節や筋からの情報だけでなく、人の全身動作が自然にロボットと調和される制御手法の開発(早稲田大学)などがあり、それぞれ独自の制御手法で、人の動きに即した自然な動作支援を目指して開発を進めている。この分野で主に開発を進めるのは大学・研究機関だが、一般企業のエクォス・リサーチ、トヨタ、大日本印刷なども、25年には世界市場規模300億ドル(約3兆円)となる生活支援ロボット市場での覇権を競う。(編集担当:久保田雄城)