理化学研究所(理研)と富士通<6702>は、スーパーコンピュータ「京(けい)」による測定結果で、産業利用など実際のアプリケーションで用いられる共役勾配法の処理速度の国際的なランキング「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」において、世界第1位を獲得した。ランキングは、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する世界最高峰の国際会議であるSC16で発表されるという。
HPCGは、連立一次方程式の処理速度を競うLINPACKや、グラフ解析の性能を競うGraph500とは異なる視点で性能を評価する指標で、スーパーコンピュータの性能をより多くの視点から評価するための新しい国際的なベンチマークとして、2014年からランキングが発表されている。前回、2016年6月のランキングでは、「京」は第2位だった。
今回の測定には、「京」が持つ全計算ノード82,944台を用いている。2014年の最初のランキング発表時と比べて、さらに進んだチューニングを行ったことで、602TFLOPSという高いベンチマークのスコアを達成した。このスコアはLINPACKで「京」より上位のスーパーコンピュータよりも高いことから、CPUの演算性能のみならずメモリやネットワークも含めたシステム全体としての性能バランスを重視して設計開発された「京」が、産業利用など実際のアプリケーションを非常に効率よく処理し、高い性能を発揮することを証明しているという。
今回のHPCGでの第1位の獲得と、同じくSC16において発表されたTOP500第7位とGraph500第1位という結果と合わせて、幅広い分野のアプリケーションで成果を創出する「京」の総合性能の高さが、改めて実証されたとしている。(編集担当:慶尾六郎)