島津製作所は日和見感染症の原因となるウイルスを検出する「日和見感染症ウイルス検出キット」を発売した。従来の検査とは違い、短時間で同時にウイルスを検出することができる。免疫力が低下するような病気の治療の際、日和見感染症の原因ウイルスを監視するといった活用法に期待が寄せられている。
島津製作所<7701>は日和見感染症の原因となるウイルスを迅速かつ同時に検出することができる「日和見感染症ウイルス検出キット」を発売した。従来は検査機関に依頼するため結果を得るまでに数日かかっていたが、同キットを使えば13種類のウイルスをサンプル入手から2時間程度で検出することができる。13種類のウイルスとはヘルペスウイルスや肝炎ウイルスなど医療現場において特にニーズが高いとされるものである。また、複雑な試薬調整が不要で大幅に作業性が向上している、
同キットによって検出されるウイルスによる感染症は日和見感染症と言われる。日和見感染症とは健常時にはウイルスが体内にあっても症状が出ないものの、免疫力が低下した時などにウイルスが増殖し時には重篤な症状を引き起こすものの事を言う。免疫力を低下させる要因として糖尿病、腎不全、肝不全、ガンや白血病、エイズなどが挙げられる。何らかの疾患を得ている状態に追い打ちをかけるように発病することから症状が重篤なものになることもあるという。
また、臓器移植や造血幹細胞移植の際に拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を使用するなど、人為的に免疫力を下げる場合がある。その際は日和見感染症を引き起こすウイルスの監視が重要になってくる。ウイルスは定期的にチェックする必要があるため、従来の検査のように結果が得られるまで数日かかっていると治療に支障が出てくる場合も想定されるという。
日和見感染症は普段症状を表さないことから、多くの関心を集める存在ではないのが現状である。しかし、日和見感染症は免疫力が低下しているという身体が無防備な時に発症するという厄介な存在でもある。風邪や疲れなどで体力が低下した時はいつも同じような症状が出る、という事があるならば、それはもしかしたら日和見感染症かもしれない。いま自身の体にどのようなリスクが潜んでいるのか。日頃の健康管理の一環として日和見感染症の原因となるウイルスについて調べてみるのもいいかもしれない。(編集担当:久保田雄城)