日本メンタルヘルス研究センターは受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックと共同で都内の受験生(高校3年生)を対象に受験うつに関する調査を行った。1年間を通してのメンタル面の推移(受験うつ評価尺度)を調べたところ、新学期の始まる9月に受験うつを発症しやすいことが明らかになった。
日本メンタルヘルス研究センターは受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックと共同で都内の受験生(高校3年生)を対象に受験うつに関する調査を行った。1年間を通してのメンタル面の推移(受験うつ評価尺度)を調べたところ、新学期の始まる9月に受験うつを発症しやすいことが明らかになった。受験うつ評価尺度でのうつの度合いは入学試験が行われる1月と2月に最大となるが、前月からの増加量に関しては9月がトップとなった。59%の受験生が「夏休みの生活リズムの乱れ」が認められたほか53%の割合で「新学期への不適応」が、35%の割合で「成績不振のストレス」が、29%の割合で「親や先生への反発」が認められた。
受験うつは強度のストレスを継続的に受け続けることで脳の機能が正常に働かなくなった状態。未成年者はストレス耐性が大人に比べて低く、人生の局面である受験の時期には誰もが高ストレス状態下にあることからうつ状態を発現しやすい。新学期が始まる9月には生活リズムや学校生活の適応、受験勉強の進捗度合からの焦りなどから特にストレスを感じやすく受験うつ指数が上昇するとみられる。これにより、9月に増加が予想される症状としては「イライラして周りにあたる、成績の著しい低下、登校時に頭痛や吐き気などの拒絶反応が起こる、勉強に対して無気力になる」などの症状や自信喪失や自己肥大、他責や自責が認められる。
厚生労働省の調査によれば、うつ病含む気分障害の患者数は近年増加傾向にありに、2002年には71.1万人だったのが05年には92.4万人、08年には104.1万人と著しく増加しているとのこと。受験うつ病は、風邪などと違い一度発症すると休養だけでは治らないことも多く、重篤化を避けるためには薬物療法、認知行動療法、対人関係療法などの適切な精神療法を施す必要があるとのこと。ストレスによる症状が目立つ場合にはこれを本人に自覚してもらい、できる範囲で除去しながら受験うつを予防することがまず大切になってくるが、もし受験鬱が疑われる場合には精神科や心療内科への早期受診が望まれる。(編集担当:久保田雄城)