自動運転車の普及が段階的に進むなか、ジャストシステムが「自動運転車への期待と意識に関する調査」を実施した。同調査によれば、人間の操作なしで目的地まで自動走行する自動運転車の普及に関して「とても期待している」が30.4%、「どちらかというと期待している」が28.4%となり半数以上で期待しているという結果となった。また、自動運転車の普及で期待したいこと(複数回答)では、「交通事故の減少」が83.3%でトップ。次いで「渋滞の緩和、解消」(47.9%)、行動範囲の拡大による「アクティブシニアの増加」(44.8%)の順となった。60歳以上の方が自動運転車を利用することに対しては、「賛成」が26.2%、「一定基準を満たしていれば、賛成」が43.6%と、高齢者の自動運転に関して前向きな考えを持った人が多いことがわかった。
一方で、自分が利用したいものでは「自動ブレーキなど、運転する人間の支援機能を持つ自動車」が最も多く、23.7%となった。次いで「運転を車に任せるか、人が行うかを選択できる自動運転車」(20.9%)、「人間は全く運転に関与しない自動運転車」(20.1%)、「緊急時は人間が対応する自動運転車」(18.1%)の順となった。年代別割合を見ると、60歳以上の人では「支援機能を持つ自動車」が30.8%でおおきく、一方で「全く運転に関与しない自動運転車」では世代が上がるほど減少、20代では25.1%だったのに対し60歳以上では14.5%と、自動運転への信頼度合や運転への執着度合の世代差が表れる結果となった。
自動運転車普及のカギとなるのは、技術の発展よりむしろ交通法規の整備だ。現状、ウィーン条約やジュネーブ条約により、車両には必ず運転者が搭乗することが定められており、その意味では人間の運転者が責任の範囲内で車を動かす必要がある。これらの国際条約及び国によって異なる安全基準をクリアする必要があり、自動運転車の普及を目指し国際的な議論が進められている。国内では現段階において、警視庁が完全な自動運転を認めておらず、トヨタが10月に行った公道での自動運転車の実演が問題となった。一方海外では、米ミシガン州が搭乗者なしの自動運転による公道走行実験を認めるなど、自動運転車実用化に向けた動きが活発だ。2020年には国内でも、緊急時のみ人間が対応する「レベル3」の自動運転車の市販化が期待されており、これに向けた基準の策定が急がれる。(編集担当:久保田雄城)