12月9日、第37回目となる2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考会が開催され、イヤーカー及び部門賞、特別賞の発表と表彰式が行われた。栄えある「2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのは、富士重工業のスバル インプレッサスポーツG4。同社新開発の技術による質の高い走行性能だけでなく、国産車初の歩行者保護エアバッグをはじめとする、世界トップレベルの安全性能、加えて200万円を切る手頃な価格であることなども高く評価された。
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会の発表によると、2016年11月の軽自動車を含む国内新車販売台数は前年同月比7.4%増の41万7602台となり、3カ月ぶりにプラスとなった。日本カー・オブ・ザ・イヤー10ベストカーにも選ばれた日産のセレナなど、新型モデルが好調であったことなどがある。16年の国内普通車販売台数は5年連続で300万台超が見込まれている。
一方で、日本自動車工業会の調査によると、車を保有していない若者の約6割が「車を買いたくない」と考えているという。「車を買わなくても生活できる」というのが理由の一つだ。
今回の日本カー・オブ・ザ・イヤーでも自動運転などの進展が目覚ましい新技術やデザインなど車そのものの魅力に注目が集まったが、「車でどう生活が変わるか」など、「車のある暮らし」をどう訴求できるかも鍵になるだろう。
例えば、トヨタ自動車が運営する公式カーグッズ通販「ハピカラ」は今年4月、創業40周年を迎えた「BEAMS」が展開するファッション&ライフスタイル提案ブランド「B:MING LIFE STORE by BEAMS」とコラボレーションし、「アーバンアウトドア」をコンセプトにしたWEBストアをオープンした。車そのものではなく、おしゃれで機能的なカーインテリアを提案することで、「車のある暮らし」に興味を持ってもらうことが狙いだ。
また、独自性の高いデザインで、日本でも人気の高いイタリアの高級車ブランド・アルファロメオもデジタルブランディングとして、世界観とマッチする上質な生活シーンを紹介する自社メディア「mondo alfa」を発信して注目を集めている。ここでも、アルファロメオの車だけでなく、それに相応しいプロダクトや空間を独自に取材し、「Art」「Fashion」「Travel」「Food」など様々なジャンルにわたって紹介している。
さらに自動車業界以外の住宅業界で、積水ハウスが提案する「モビリティライフ」は、自動車だけに限定するのではなく、自転車やバイク、さらにはベビーカーなど、「家族が乗る乗り物すべて」に及ぶ生活提案となっているのが、住宅メーカーならではで面白い。
同社では以前から、住宅の駐車スペースの駐車以外での活用の可能性に注目していたという。プランニングの際に駐車スペースに関しては「ご主人」任せになることが多いが、実は休日以外の自家用車利用は奥様の方が多かったり、他の家族の駐輪スペースも必要だったりする。
積水ハウスでは駐車スペースの活用で暮らしを豊かにするライフスタイルを大きく12に分けて提案している。例えば、雨に濡れずに車から家にアクセスできる「買い物らくらく Garage」、自転車を楽しむ「サイクルGarage」、その他にもホームパーティ、子どもやペットの遊び場、防災倉庫として活用したりなど様々だ。これらは実際に同社がこれまでの施工や顧客へのアンケートなどで、駐車スペースに対する「あったらいいな」という要望の高かったデータをもとに独自の視点を加えて考えられたものだ。
車のスタイルや性能ももちろん大切だが、日本人ももっと「車のある暮らし」を楽しむことを考えても良いのではないだろうか。車やバイク、自転車などの乗り物、駐車スペースへの考え方を少し変えれば、もっとおしゃれで便利な、充実した暮らしが待っているのではないか。(編集担当:藤原伊織)