政府は2017年度の税制改正でタワーマンションの固定資産税の見直しを盛り込むことを検討している。現状では階数に関係なく、面積によって定められる固定資産税の額を、階ごとに異なった課税額を設定するというものだ。
タワーマンションの資産価格は高層階と低層階では大きく異なるにも関わらず、現在の課税方式では1棟全体の資産価値を評価した上で、床面積によって課税額が定められてきた。1棟どの階であっても同一の額が課税されていたため、低層階の住民からは不満の声がかねてから挙がっていた。それを受けて高層階は増税、低層階は減税となる。また、上層階では資産価値が高い割に税金が安く、節税目的で購入するケースも多く、「節税対策への対策」という狙いもあると言われている。
今回の見直しでは実際の資産価値を加味した課税方式に変更となる。具体的には20階建て以上の新築マンションが対象となり、中間の階を基準とし、1階上がることに約0.25%増額し、1階下がることに0.25%減額する。マンション1棟の総額は変わらず、階によって差を付けていく。
例えば40階建てのマンションがあったとすると、20階が中間階として基準となる。20階の固定資産税が年間20万円だった場合は、1階が19万円、40階が21万円と、最上階と最下階では10%ほど差が出る。また部屋の設備によっても資産価値は変動するため、設備が充実している部屋に対しては別途上乗せも検討している。
現在全国で1200棟を超えると言われているタワーマンション。土地が限られている中、今後もマンションの高層化は進むだろう。高層階と低層階で資産価値に乖離が開いている現状のなかで、「1棟まるごと同じ税額」というのは確かに杓子定規的で不公平だと言える。その部屋の資産価値に応じた柔軟な税額の設定は、タワーマンションの普及という時流に合わせた、税制の最適化へ一歩前進する動きと言える。ただその一方で増税によってマンションの買い控えも懸念される。この改正が今後不動産業界にどのような影響を与えるのか注目したい。(編集担当:久保田雄城)