全体的な人口減少や過疎化が進む地域での空き家が問題視されているが、今年5月から施行された空き家対策特別措置法に則り、まずは危険な空き家28軒の所有者に修繕や撤去など今後の処置について勧告がなされたようだ。
現在、長期に渡って人が居住していない、または所有者による管理が行き届いていない空き家が各地で問題となっている。建物倒壊の危険性や衛生問題など、空き家の放置は周辺住宅・住民に悪影響を及ぼすため、政府や自治体は空き家をどう対処するかの問題に直面している。
こうした空き家問題に対処するため、政府は空き家対策特別措置法を制定し、今年5月から施行された。その結果、10月1日までに全国の11市町村がこの措置法に則って実際に空き家の所有者に修繕や撤去など今後の対処を勧告していたことが、総務省と国土交通省の調べでわかった。
空き家対策特別措置法の全面実施により、日本全国の自治体が手を焼いている空き家問題にようやくメスを入れることができそうだ。
空き家の長期放置は前述の通り、倒壊などの物理的危険性や衛生面、そして治安面でも周辺住民に悪影響を及ぼす。このため、自治体などは空き家対策を早急に講じる必要があったが、空き家対策特別措置法により、問題があると認められる「特定空き家」の所有者に修繕や撤去の勧告・命令ができるようになった。さらに、命令に従わない場合には強制撤去することも可能になった。
総務省統計局によれば、2013年度時点で全国の空き家数は820万戸であり、これは5年前の08年度から8.3%増えていることになる。
これほど空き家が増えた背景には全体的な人口減少や中古物件がうまく流通しない不動産事情、税制の問題などがある。特に税制については、建物付きの土地は固定資産税の大幅な減免措置があり、こうした制度が空き家を増やす要因となっていた。
しかし今回の空き家対策特別措置法では、当該措置法で対処すべき空き家と認定された場合、固定資産税減免の対象外となる。税金負担を増やすことで所有者の適切な建物管理を促すことができる点で期待できる。
今後このまま少子高齢化が進めば、新築住宅の数は増えても、空き家そのものの数を減らすことは難しくなる。土地と建物の有効活用のため、完全撤去に至ってしまう前に、所有者が管理・活用意識を持って対処することが求められるだろう。(編集担当:久保田雄城)