とまらない炭酸水の需要拡大

2012年04月02日 11:00

 富士経済によると2010年には5071億円であった市場が2011年の見込みでは前年比95.1%となる4823億円となるなど、ブームに陰りが見られる炭酸飲料市場。しかし、炭酸飲料市場が減退傾向にある一方で、炭酸水の市場は2010年が前年比136.5%の131億円であるのに対し、2011年見込みは前年比117.6%の154億円と、成長の鈍化は見られるものの依然として拡大を続けている。

 この炭酸水の市場拡大をけん引しているのが、数年前から続くハイボールブームである。アサヒビールが、スコットランドの認可を受けた最古の蒸溜所の1つ、ベン・ネヴィス蒸溜所で蒸留されたブレンデッドウイスキー「フォートウィリアム」を4月17日から発売すると発表。サントリー酒類も、父の日に向けて「角瓶」や「ジャックダニエル」のギフトパックなどを限定販売すると発表するなど、ウイスキーを提供するメーカーは、2008年頃から続くこのブームに乗じた商品展開を現在でも実施している。

 また、ハイボールの影響を受けて近時では、ワインを炭酸水で割る「スプリッツァ」も注目を集めており、2月からキリンビールが「ワインカクテルワインスプリッツァ 白」の販売を開始。発売3週間で、年間販売目標の約3割にあたる約23万ケースを販売し、業務用市場でもワインスプリッツァのメニュー使用が拡大しているという。

 さらに、炭酸水を何かの割り材にして飲用するのではなく、そのまま飲用する傾向も拡大しており、飲料メーカー各社が独自のブランドを展開している。この拡大傾向は特に女性の間で広がっていることを受け、化粧品メーカーであり、近年は健康食品の販売にも注力しているポーラが3月から炭酸水「スパークリングウォーターバーニングプラス」の販売を開始。健康で効果的なダイエットをサポートする「L-カルニチン」や「ギャバ」を配合した無糖炭酸飲料で、お酒や果実酢などで割るなど、様々な飲み方を提案している。

 2012年は、昨年までの急激な市場拡大の反動もあり、市場の拡大は鈍化すると予測されている。しかし、スプリッツァなどの新たな炭酸水を利用した飲料市場も台頭しており、ピークが未だ見えないとも言えるであろう。炭酸水のブームは、一時期で終わるものではなく、確固とした市場を確立するのかもしれない。