現在の半導体市場を支えていると言われるスマートフォンやタブレット端末。3月26日にIDC Japanが発表した調査結果によると、2011年第4四半期の国内スマートフォン出荷台数は、前年同期比184.4%増の689万台。アンドロイドOS搭載のスマートフォンも同四半期は400万台以上の出荷台数を記録していることから、ソフトバンクとKDDIから同時発売されたiPhone 4sの人気で一部の世代が市場をけん引しているのではなく、スマート日本全体に浸透していることが窺える。このスマートフォンやタブレット端末の爆発的普及は構成部材の市場拡大や傾向変化にも繋がっている。
3月30日に富士経済が発表したタッチパネルの世界市場調査によると、2016年のタッチパネル市場は2011年比2.1倍の7753億円。中でも、スマートフォンやタブレット端末に利用される静電容量式タッチパネルが急伸。2011年の市場規模が2682億円であるのに対し、2016年には2011年比262%の7026億円に達すると予測されている。一方で抵抗膜式タッチパネルは、低価格化により用途が拡大したものの、主要用途である携帯電話・スマートフォン向けで静電容量式タッチパネルへの置き換えが進んだことにより僅かに縮小。2011年の市場規模は1002億円となっており、2016年には2011年比72.6%の727億円へと減少すると予測されている。合計では、2011年に3683億円である市場が、2016年には7753億円と210.5%もの規模になるという。
こういった傾向を受けてシャープは、電子機器の受託製造サービスの世界最大手企業である鴻海グループと、主要事業分野において業務提携すると発表。鴻海グループの中核企業である鴻海精密工業がシャープ堺工場の生産する液晶パネル、モジュールを最終的に50%まで引き取り、「ワンカンパニー」として同工場を共同で事業運営する。そして、両社の強みを活かしたグローバルレベルの新たなビジネスモデルを構築し、市場ニーズにマッチしたコスト競争力のあるデバイス・商品のタイムリーな市場投入を実現するという。
世界規模で伸長するスマートフォンやタブレット端末市場にけん引されている半導体市場。一方で構成部材を提供する日本企業は、大型パネル事業から撤退し、中小型パネルに注力する企業が出てくるなど、事業戦略の転換を迫られている。業績不振が取り沙汰される企業が再生する可能性も持つ市場の拡大傾向に、乗り遅れない為に求められる戦略とはいかなるものか。各企業の決断が迫られているのかもしれない。