韓国釜山の日本総領事館前公道に市民団体が28日設置した慰安婦を象徴する少女像が地元自治体と警察により撤去されたものの、自治体は激しい抗議電話殺到に対応できず業務に支障をきたす事態になったとして「自治体では対処が難しい」と、設置を容認。30日に再び設置された。市民団体はきょう31日に除幕式を行う予定。
一方、外務省の杉山普輔事務次官は韓国の李俊揆(イ・ジュンギュ)駐日大使に「日韓合意の精神に反するとともに、ウイーン条約に照らしても問題だ」と抗議。早急な撤去を求めている。
日韓関係では安倍晋三首相が真珠湾を訪問した際、戦争についての謝罪や反省がないまま『不戦の決意』を表明したことについて聯合ニュースは「韓国外交部当局者は『日本が正しい歴史認識に基づき、過去の軍国主義の被害者だった周辺国との和解と協力に向けさらなる努力を傾けるべきだ』との考えを示した」と報じた。
一方「韓国政府は日本に対し、正しい歴史認識を持つよう強調しながらも、安倍首相が過去の侵略戦争についての謝罪や反省に言及しなかったことに対しては直接的な批判は避けたものとみられる。慰安婦問題をめぐる韓日合意後に改善しつつある両国関係を意識した対応ではないかとの見方が出ている」と報じた。
そんな中、稲田朋美防衛大臣が29日、A級戦犯を合祀する靖国神社に参拝した。防衛大臣の立場であったことが特に韓国内での批判の声を強めた。聯合ニュースは「韓国外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は同日の定例会見で『韓日関係改善の努力に逆行する極めて不適切なもので、政府は強い遺憾と抗議の意を伝えた』と述べた」と報じた。さらに、「鄭炳元(チョン・ビョンウォン)東北アジア局長が在韓日本大使館の丸山浩平総括公使代理を呼び強く抗議した」とも伝えた。
韓国政治情勢が不安定な中、両国とも、より慎重をきすべき問題に対処不備から抗議し合う材料をつくってしまったことになり、未来志向の関係構築へ、両国政府に一層の努力が求められている。(編集担当:森高龍二)