稲田氏の靖国参拝に「深刻な憂慮」と韓国が抗議

2016年12月29日 14:41

 稲田朋美防衛大臣が29日朝、A級戦犯も合祀する靖国神社に閣僚となって初めて参拝したことに、韓国国防部は即時反応し「歴史を直視しながら未来志向的な韓日関係を新たにつくりあげなければならないと何度も強調してきたにもかかわらず、日本の防衛相が靖国神社を参拝したことに対し、深刻な憂慮と遺憾を表明する」とのコメントを発表した。

 聯合ニュースは「午後に在韓日本大使館の公使を呼んで抗議する方針」と伝えた。鄭炳元(チョン・ビョンウォン)東北アジア局長が抗議の意を伝えるもよう。また韓国国防部関係者の話として「防衛相の靖国神社参拝はほかの閣僚の参拝より深刻な問題と述べた」と報じた。

 稲田大臣は8月15日の終戦記念日には海賊対処にあたる自衛官らを激励のため、国外にいた。この時は、国内にいて参拝しないのは稲田氏の閣僚就任前からの行動と比べ、遺族会や支持団体との絡みもあり、難しく、逆に、参拝すれば日韓・日中関係を悪化させるとの懸念から国外にいたとの見方もあった。

 今回の参拝では「防衛大臣・稲田朋美」と記帳。玉串料は私費で払ったという。また「一国民として参拝した」と記者団に答えた。私人(一国民)としての参拝であっても、肩書を書く以上、公人としての参拝とみられるのは常識で、戦争犯罪人を合祀している以上、これまでの閣僚参拝に対する韓国・中国の反応を踏まえれば、両国関係に悪影響になることは避けられない。

 日韓関係では慰安婦問題はじめ北朝鮮を睨んだ日韓軍事情報包括保護協定(GSOMI)の締結・発効など両国政府間で解決に成果をあげているだけに、水を差す行為に日本国内からも懸念する声もある。(編集担当:森高龍二)