【今週の振り返り】トランプ氏の正体みたりで167円下落した週

2017年01月14日 20:19

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当選後、安倍首相が真っ先にはせ参じたのに、大統領就任直前の初めての記者会見の場で、メキシコ、中国と並べられて日本も、トランプ政権の貿易政策〃仮想敵国〃認定。

 NYダウは、上昇幅が100ドルを超えて2万ドルに迫ったかと思えばマイナスまで下げる乱高下。トランプ氏が「薬価を見直したい」と製薬会社を槍玉に挙げヘルスケアセクターが急落。終盤は原油先物価格が52ドル台まで回復し3日ぶりに反発したため買い戻しが入り、終値は98ドル高で3営業日ぶりの反発。NASDAQは7営業日続伸し5営業日連続史上最高値更新。S&P500もプラス。アメリカ長期金利の低下もあり為替のドル円は一時114円台までドル安円高が進行したが、朝方は115円台前半。ユーロ円は122円近辺。金先物は3日続伸。大阪夜間取引終値は19330円。CME先物清算値は19340円。

 日経平均始値は64円安の19300円。高値は始値で「寄り天(寄り高)」。安値は1時4分の19069円。終値は229円安の19134円。前日午後の安倍首相と黒田日銀総裁の会談は国際経済がテーマ。中心はトランプ政権下のアメリカ経済の見通しで、ヨーロッパや新興国についても話し合った。取引開始前に発表された11月の国際収支は、経常収支は1兆4155億円の黒字で、29ヵ月連続黒字。貿易収支は3134億円の黒字。12月上中旬の貿易収支は2186億円の4ヵ月ぶりの赤字。

 日経平均始値はTOPIXともにマイナスで19300円だったが、15秒後に19300円割れ。序盤は始値を「寄り天(寄り高)」に、ドル円が115円を割り込む円高を伴いながら先物主導でどんどん下落し、19200円も19100円も下回った。イベントはそれを通過したこと自体が好材料になるが、あいにく今週はSQ週。月曜が休場だったので「鬼門」が1日ずれたよう。この大幅下落で、大納会の12月30日の終値19114円と、大発会の1月4日の安値19277円の間に空いたチャート上のローソク足のすき間「マド」を完全に埋めきった。マド埋めの後は反発するが、ドル円が115円台に戻っても上げ足は鈍く、しばらく19100円台前半で低迷。10時台になると19200円台を回復した。11時に12月末時点の東京都心部オフィス空室率が発表され、-0.14ポイントの3.61%で2ヵ月ぶりの改善。11時台は再び円高に振れ19200円台を守れない。ドル円は115円近辺の小動き。前引けは日経平均は3ケタ安、TOPIXは2ケタ安で、日銀のETF買いの条件を十分に満たした。

 後場は下げ幅を少し拡大する程度で再開するが、直後から下げ一方で19100円を割り込み、1時を過ぎると安値更新。ドル円は114円台前半まで円高が進行し、「マド埋め完了、日銀買いの援軍あり」でも円高の壁が立ちふさがる。特に悪いのが医薬品セクターで、トランプ氏が記者会見で薬価に注文をつけた影響が東京市場にも飛び火した。医薬品大手にとって北米も重要な市場。2時に内閣府が発表した12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)は、現状判断指数は51.4で11月から横ばい。先行き判断指数は-0.4ポイントの50.9で6ヵ月ぶりの悪化。両指数とも家計が足を引っ張った。基調判断は「着実に持ち直している」で据え置きだが、国民の将来への不安が解消しない限り景気の本格回復は望めない。日経平均は1時台は19100円そこそこだったが、2時台になるとドル円が115円台を回復できなくても日経平均は19200円にタッチ。TOPIXも持ち直し、これが日銀買い効果か? しかし終盤は再び19100円台前半まで凹んで終了。日経平均もTOPIXも日銀買い703億円むなしく前引けを下回った。

 日経平均終値は229.97円安の19134.70円、TOPIX終値は-14.99の1535.41。売買高は20億株、売買代金は2兆3761億円。値上がり銘柄数は327、値下がり銘柄数は1600。プラスは円高メリットが出る石油・石炭とディフェンシブ系の水産・農林の2業種だけ。マイナスは31業種で、その下位は医薬品、パルプ・紙、精密機器、小売、ゴム製品、繊維など。上海総合指数は0.55%安だった。

 13日の日経平均は大幅反発。ドイツの2016年通年のGDP成長率は市場予測を上回る+1.9%だったがDAX指数は大幅安。フランスもマイナスだったがロンドンFTSE指数は新年をまたいで13営業日続伸中。

 トランプ次期大統領の記者会見という大イベントを通過したアメリカはバッドニュースばかり。新規失業保険申請件数は+1万人と悪化。12月の輸入物価指数は前月比でプラス転換し+0.4%だが市場予測を下回った。財政収支は275.16億ドルの赤字で前年同月よりも市場予測よりも悪い赤字拡大。FCA(フィアット・クライスラー)に大気浄化法違反問題が浮上。セントルイス連銀のブラード総裁は新政権の政策効果が出るのは来年からだと利上げペースの加速に懸念を表明した。NYダウは午前中に183ドル安まで下げたが、原油先物価格が4営業日ぶりに53ドル台を回復したため持ち直し終値63ドル安。NASDAQは8営業日ぶりに下落。金先物価格はリスクオフで上昇した。アマゾンはアメリカ国内で10万人以上の雇用創出を表明し「アメリカ・ファースト」に秋波。コワモテの新大統領にほめられたい?

 為替のドル円レートは、アメリカの長期金利の低下が続いてロンドン時間、5週間ぶりの113円台まで円高が進行したが、朝方は114円台後半。ユーロ円は121円台後半。大阪夜間取引終値は19150円。CME先物清算値は19170円。

 日経平均始値は40円高の19174円。高値は0時38分の19299円。安値は9時1分の19156円。終値は152円高の19287円。取引時間前に日銀から発表された12月のマネーストック(通貨供給量)はM2は+4.0%、M3は+3.4%。「マイナーSQ(オプションSQ)」で「13日の金曜日」の日経平均は40円高の小反発で始まる。TOPIXはマイナス。9時9分にSQ清算値が発表され19182.28円。その時点で日経平均は反発してSQ値を下から上に突き抜け、「まぼろしのSQ値秒殺」。TOPIXはプラスに変わる。9時台は19200円をはさんで乱高下しTOPIXは一時マイナスにもタッチするが、10時台は日経平均は19200円台前半、TOPIXはプラス圏でほぼ安定する。SQ日とはそういうもの。為替のドル円レートは114円台後半で115円にも一時タッチし、東京時間になってから円安方向。その状況のまま前場の残り時間を引っ張り、前引け99円高。TOPIXもプラスなので日銀のETF買いが入る可能性はなくなった。