5日の日経平均は大幅続落。2日に発表されたアメリカの雇用統計の結果は、非農業部門雇用者数は+17.8万人で市場予測の+18万人よりやや少ないが、完全失業率は10月の4.9%から4.6%に大幅改善し9年ぶりの低水準。しかし10月の非農業部門雇用者数は+16.1万人から+14.2万人に下方修正され、平均時給は-0.1%、労働参加率は10月比-0.1ポイントと、決して楽観はできない数字。そのため直後、アメリカの長期金利は低下し為替市場ではドルが売られたが、マーケットでは「今月のFOMCでの利上げ決定に向けて視界良好」という解釈が支配的だった。2日のNYダウは21ドル安。NASDAQ、S&P500はプラス。NY時間の為替レートはドル円が113円台半ば、ユーロ円が121円台前半で円高進行。大阪夜間取引終値は18340円。CME先物清算値は18365円だった。
日経平均始値は76円安の18349円。高値は9時7分の18365円。安値は0時47分の18227円。終値は151円安の18274円。4日のオーストリアの出直し大統領選挙の結果は反EUの候補者が敗れ、親EUの候補者が当選した。一方、4日のイタリアの国民投票は反対が優勢の出口調査を受けてレンツィ首相が敗北を認めて辞意を表明した。ユーロが急落しユーロ円は一時119円を割り込む。5日朝方、取引開始直前の為替レートはドル円が113円台前半、ユーロ円が119円台後半。
マーケットのリスクに対し、アメリカの雇用統計はほぼ中立で、オーストリアはオン、イタリアはオフ。8日にECB理事会を控えた「ヨーロッパの週」の日経平均は先物にさや寄せして18300円台半ばで開始。9時台は一時18300円を割る。しかしユーロ円がなぜか120円台まで戻ったため株価も18350円付近まで反転・上昇する。イタリアの銀行、モンテ・ディ・パスキ・デ・シエナの問題への不安がひろがり金融セクターは軟調。ニュージーランドのキー首相が突如辞任を表明しNZドルが乱高下。トランプ次期大統領が台湾の蔡総統と電話会談し、それに反発した中国をトランプ氏が批判したのが嫌気されたのか上海が大幅安で始まり、中国リスクで10時台の日経平均は再び3ケタ安に。地球上のどこからタマが飛んでくるかわからない。
2日に発表されたファーストリテイリング<9983>の11月の国内ユニクロ既存店売上高は+7.3%と好調。東京で初雪が降ったりして「ヒートテック」などユニクロお得意の冬物が好調に売れた。しかし前場の株価は先物安に連動して下落。3日夕方、福岡市博多区の病院の建物にタクシーが突っ込み死者が出た。原因はまだ不明だがドライバーが「ブレーキがきかなかった」と言っており車種はトヨタ<7203>の「プリウス」。しかし自動車セクターが全体に軟調な中、前場のトヨタの株価は下落幅が1%を超えるホンダ<7267>や富士重工<7270>に比べると下落幅が小さく、「噂で売られる」ようなことはなくマーケットは慎重なスタンス。
世界から届くニュースにさんざん振り回された前場だが、残りの時間は18300~18330円のレンジで小動きになり、前引けは117円安。TOPIXは2ケタポイント安。12月は742億円にパワーアップした日銀のETF買いが入る条件を十分に満たした。
後場は前引け水準で再開するが、直後からストンと前場の下値支持線だった18300円を割り込み、安値更新。1時台は18250円前後で動きが乏しくなり、2時台は少し上がって18200円台後半。11月の消費動向調査の消費者態度指数が発表され、前月比1.4ポイント低下の40.9。野菜の高騰、冬のボーナスへの減額懸念もあり2ヵ月連続で前月を下回り、消費者心理は依然良くない。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。為替のドル円は113円台後半で朝方よりやや円安に振れても、この日から「深センA株」に日本から注文が出せるようになった中国株が大幅安で、週明けの欧米市場を待つ様子見もあって商いが薄くなり、株価は3ケタ安のままでさえない。結局そのまま終了し、742億円の日銀買いが入っても大引けの数値が前引けを上回れなかった。
日経平均終値は151.09円安の18274.99円、TOPIX終値は-11.02の1466.96。売買高は20億株、売買代金は2兆2937億円。値上がり銘柄数は539、値下がり銘柄数は1327。プラスは7業種で、その上位は水産・農林、海運、卸売、機械、化学工業、パルプ・紙など。マイナスは26業種で、その下位は銀行、サービス、不動産、建設、保険、空運など。上海総合指数は1.2%安と大きく下がった。
6日の日経平均は3営業日ぶりに反発。イタリアの国民投票否決、レンツィ首相退陣は「想定の範囲内」だったようでヨーロッパ株は揃って上昇。フランクフルトDAX指数は特に大幅高。リスクオンで金先物は反落、原油先物は一時52ドル台まで上昇し4営業日続伸。週明けのNYダウは45ドル高で反発し史上最高値更新。NASDAQ、S&P500は続伸。経済指標は、ISM非製造業景況感指数は+2.4の57.2で1年ぶりの高水準、労働市場情勢指数は+1.5で10月分も上方修正され、ともに市場予測を上回った。原油価格の回復が効いている模様。NY連銀のダドリー総裁が「利上げペースの判断は時期尚早」とクギを刺しても株価は反応薄。しかしアメリカの長期金利は乱高下し、為替のドル円は一時114円台後半までドル高円安が進んだが朝方は113円台後半に。前日一時118円台までいったユーロ売りが止まりユーロ円は122円台半ば。「イタリア・ショック」は東京市場限定だった。大阪夜間取引終値は18420円。CME先物清算値は18405円。
日経平均始値は182円高の18457円。高値は9時5分の18484円。安値は0時30分の18318円。終値は85円高の18360円。9時に10月の毎月勤労統計速報が発表され、実質賃金は横ばい。前年同月比プラスは8ヵ月連続で止まった。現金給与総額は+0.1%で、所定内給与は+0.3%、所定外給与は-1.4%、特別給与は-0.5%。厚生労働省の賃金動向についての見方は「基調としては緩やかに増加している」だった。
直前の為替レートは動かなくても、日経平均現物は15分早く始まった先物の日中取引に引っ張られて高い水準で始まり18500円まであと16円に接近。そこから下げても9時台、10時台は18400円台前半を保つ。しかし11時前から値を下げ、11時台は18350円を割り込んで安値更新。それでも前引けは95円高で日銀買い発動の可能性はなくなった。為替のドル円レートは前場はずっと113円台後半で安定していた。