【今週の振り返り】 要人の「口から出れば世界」で149円下落した週

2017年01月21日 20:19

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トランプ次期大統領のドル高懸念発言、英国のメイ首相のEU完全離脱発言、イエレンFRB議長の利上げ回数発言、ムニューチン次期財務長官の強いドル発言

 日経平均終値は281.71円安の18813.53円、TOPIX終値は-21.54の1509.10。売買高は17億株、売買代金は2兆942億円。値上がり銘柄数は149、値下がり銘柄数は1799。全33業種がマイナスで、その下位は水産・農林、不動産、建設、証券、ガラス・土石、輸送用機器など。上海総合指数は0.17%高だった。

 18日の日経平均は3営業日ぶりの反発。12月の英国の消費者物価指数(CPI)は前年同期比+1.6%で市場予測を上回り2014年7月以来の大幅な伸びだったが、メイ首相が経済よりも移民流入阻止を優先してEUの単一市場からの完全離脱を表明し、昨年6月のEU離脱の国民投票翌日以来の大幅下落。ドイツのZEW(欧州経済研究センター)景気予測指数は16.6で前月比プラスだったが、ドイツDAXもフランスCACも下落した。

 3連休明けのNYダウは58ドル安で3営業日続落。NASDAQ、S&P500も反落。1月のNY連銀製造業景気指数はプラス幅が市場予測も前月も下回って伸び鈍化。英国のメイ首相の演説よりインパクトが大きかったのがトランプ氏周辺のニュースで、ウォールストリートジャーナルの記事で「ドル高懸念」がついに飛び出し為替のドル安を招く。「国境税」をめぐる共和党主流派との食い違いも浮上。貿易問題の〃仮想敵国〃中国の人民元安をツイッターで批判すると習近平主席はまじめに反論。世論調査の不支持率は51%で支持率44%よりも多かったが、例によってメディア批判。GMはアメリカ国内で10億ドルの追加投資、韓国の現代自動車もアメリカに31億ドルを投資、ウォルマートはアメリカ国内で1万人雇用すると打ち出し株価が上昇するなど、トランプ氏にシッポを振る企業が相次いだ。

 たばこ業界で英国のBATがアメリカのレイノルズと経営統合する大型再編のニュースがあった。ユナイテッドヘルスの決算はEPS(1株あたり利益)が市場予測を上回り、モルガン・スタンレーの決算も最終利益が81%増益でEPSが市場予測を上回った。原油先物価格は小幅反発で52ドル台。金先物価格も反発して1200ドル台を回復した。アメリカ長期金利は低下し、朝方の為替レートはドル円が112円台後半、ユーロ円が120円台後半。大阪夜間取引終値は17710円。CME先物清算値は18720円。

 日経平均始値は59円安の18753円。高値は2時36分の18941円。安値は10時3分の18650円。終値は80円高の18894円。前日発表の日本経済研究センターの民間エコノミストの経済見通し「ESPフォーキャスト調査」では、実質経済成長率は2016年度が1.21%、2017年度が1.11%で、どちらも12月調査から0.02ポイントの小幅上方修正。前日に経団連は春闘について「年収ベースの賃上げを」とベースアップより一時金を重視する指針を示した。2017年の世界経済が不透明感に支配されては「賃金水準の固定化」のリスクはとれない。食料品や日用品の価格が上昇し、1月の日経ナウキャスト予測物価指数(日経CPINow・S指数)は前年同月比+0.40%で12月の+0.15%と比べ7ヵ月ぶりの伸び率拡大。物価上昇に賃上げはついていけるか?

 政府観光庁が前日発表した「訪日外国人消費動向調査」では、2016年の訪日客による旅行消費総額は3兆7476億円で前年比7.8%増と過去最高だったが、1人あたり金額は15万5896円で11.5%減。異様な「爆買い」は中国の関税引き上げや円高で終わったが、「日本を訪れ普通に消費する外国人」の増加で全体が伸びれば、それはそれでいいこと。

 取引時間前、為替のドル円は一時113円付近まで円安方向に戻ったが、日経平均は前日は割り込まなかった18800円を下回ってのスタート。しかしTOPIXは1500の大台堅持。日経平均は序盤いきなりプラスに浮上し18839円まで急伸する場面があったが、アッという間にマイナス圏に引き戻される。仕掛けの失敗か? 誤発注か? 話題のネット上の「偽ニュース」か? TOPIXはマイナスのまま。プラスに飛び出したお仕置きをされるかのように安値更新が続き、日経平均は18700円を、TOPIXは1500を割ってしまう。ドル円も113円割れの円高。9時台は乱高下で荒れたが、10時台は18650円を底に徐々に値を戻していく展開。ドル円レートは113円台、TOPIXは1500台を回復。11時前に少し凹んだが11時台もマイナス幅を圧縮し続けて37円安で前引け。TOPIXもマイナスで日銀のETF買いの条件を満たした。

 後場は前引けよりやや安く再開するが、0時台のうちにプラスにタッチ。1時台は前日終値18813円付近の値動きでプラスになったりマイナスになったりしたが、2時を過ぎるとドル円が113円そこそこの水準から円安方向にテイクオフ。日経平均もそれに連動して18900円を突破する。しかし19000円は届かず、終盤は息切れしたように折り返し。3営業日ぶりの反発でも、大引け直前まで保っていた18900円台をキープできずに終わった。日銀のETF買いは3日連続で703億円が入っていた。この日は効果あり。

 虎の子の半導体事業を分社化するニュースがあった東芝<6502>は2.38%高。財務の立て直しを目指しアメリカのHDD大手ウエスタンデジタルや投資ファンドなどと出資の交渉を行っているという。

 日経平均終値は80.84円高の18894.37円、TOPIX終値は+4.76の1513.86。売買高は18億株、売買代金は2兆2282億円。値上がり銘柄数は929、値下がり銘柄数は928で、値上がり銘柄数がわずか1銘柄のリードと拮抗。プラスは25業種で、その上位は鉄鋼、海運、石油・石炭、水産・農林、鉱業、証券など。マイナスは8業種で、その下位はゴム製品、医薬品、サービス、食料品、精密機器、銀行など。上海総合指数は0.14%高だった。