【今週の振り返り】裏切り者日銀よりトランプ発言で460円上昇の週

2017年02月11日 20:20

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日銀はETF買いを2日連続で見送る裏切り。週間騰落は9日まではマイナスだった。プラスに変えたのは大統領の「減税予告」。いったい、誰が味方で、誰が敵なのか?

 日経平均終値は96.82円高の19007.60円、TOPIX終値は+8.00の1524.15。売買高は16億株、売買代金は1兆9826億円で2月になって初めての2兆円割れ。値上がり銘柄数は1287、値下がり銘柄数は585。プラスは25業種で、その上位はガラス・土石、卸売、不動産、ゴム製品、化学工業、機械など。マイナスは8業種で、その下位は石油・石炭、鉱業、水産・農林、建設、情報・通信、パルプ・紙など。上海総合指数は0.44%高だった。

 9日の日経平均は反落。ヨーロッパ市場はドイツはマイナス、英国とフランスはプラスだが小幅。フランス、イタリアの政界の行方が不透明でユーロ安進行。NYダウは35ドル安で反落。週間在庫統計は原油が政権交代期の生産手控えもあるのか市場予測の5倍の急増ぶり。原油先物価格は下落して終値52ドル台。それでもガソリンの在庫が予想外に増加したためダウは午後、下げ幅を圧縮したが、プラスには戻れなかった。金先物価格は5日続伸。OECDの12月の景気先行指数は99.9で横ばい。政策金利を上げたアメリカも日本もプラス。金利上昇でアメリカの住宅ローン申請件数は減少。AT&Tに買収されるタイムワーナーの決算は増収減益だがEPSは市場予測を上回った。インテルのクルザニッチCEOがトランプ大統領と会見し、アリゾナ州で3000人の雇用を伴う70億ドルの投資を約束した。アメリカの長期金利が低下し為替のドル円はNY時間で一時111円台だったが、朝方は112円近辺。ユーロ円は119円台後半。大阪夜間取引終値は18960円。CME先物清算値は18935円。

 日経平均始値は65円安の18942円。高値は11時6分の18991円。安値は2時57分の18874円。終値は99円安の18907円。取引開始前に政府指標の機械受注が発表された。12月は+6.7%で市場予測の+3.1%を大きく上回り、1~3月期も+3.3%で明るい見通し。日銀発表の1月のマネーストックはM2 が+4.1%、M3が+3.5%。この潤沢な資金供給が8日発表の企業倒産件数を抑えている。個人消費を左右する雇用情勢は安定しても経済の新陳代謝が進まず、賛否両論あるが……。

 東京では雪がちらつく中、取引開始直前はドル円が111円台後半まで円高進行し、日経平均は前日たどり着いた19000円を下回って始まる。TOPIXもマイナス。序盤は水準を切り下げて18900円を割り込み3ケタ安。円高は全てをさいなむ。それでも押し目買い勢力は健在で18889円で底を打って40円ほど反転する。10時台はこれも円安方向に反転したドル円が112円を超え、日経平均も高値追い。11時に三鬼商事から1月末の東京都心部オフィス空室率が発表され、+0.13ポイントの3.70%と2ヵ月ぶりに上昇(悪化)した。もっとも平均賃料は37ヵ月連続の上昇で、トレンド転換ではなく一時的な需給要因と思われる。11時台の日経平均は19000円にあと9円まで迫り、前引けは36円安。TOPIXもマイナスで日銀のETF買いの条件を満たし、前場はずっとマイナス圏だったが後場に期待をつなぐ。

 雪はお昼すぎに雨へと変わるだろう。後場は前引けよりやや安く再開。昼休み中にドル円レートが反転して円高方向なので0時台は下落。マイナス幅をひろげる。1時台は18900円を割ることはなかったが、18900円台後半に上がっても19000円に接近することなく、動きは小さい。SQの前日で、週末の日米首脳会談待ちが重くのしかかる。2時台は18900円台前半から半ばに水準を上げたところで終盤急落。18900円台を守りきれず割り込み3ケタ安、安値を更新したところで押し目買いあらわる。大引け直前に18900円台に滑り込み3ケタ安を回避して終了。東芝<6502>は6.74%安で値下がり率1位。バレンタイン・デーの来週14日が「運命の日」になるか? 日銀のETF買い704億円は2日連続で入らない「裏切りの連続」。ギャングだったら一族郎党、皆殺しの目にあう。安倍首相は夜、今週いや今月最大のイベント、日米首脳会談のためにアメリカに出発した。

 日経平均終値は99.93円安の18907.67円、TOPIX終値は-10.60の1513.55。売買高は19億株、売買代金は2兆2457億円。値上がり銘柄数は659、値下がり銘柄数は1205。プラスは8業種で、その上位は不動産、鉱業、金属製品、情報・通信、食料品、その他製品など。マイナスは25業種で、その下位は輸送用機器、空運、ガラス・土石、銀行、ゴム製品、石油・石炭など。上海総合指数は0.51%高だった。

 10日の日経平均は大幅反発。トランプ大統領の発言「数週間のうちに税制について驚くべき発表を行う」という「減税予告」が、世界のマーケットの空気を一変させた。ヨーロッパ市場は揃って上昇。NYダウは大幅反発して20100円台に乗せ、118ドルの3ケタ高。NASDAQは3日続伸、S&P500と合わせて主要三指数が史上最高値更新の三役揃い踏み。「3回の利上げは合理的」と述べたシカゴ連銀のエバンス総裁やセントルイス連銀のブラード総裁の発言も株価を後押しした。トランプ大統領は航空大手各社のトップとの会談の席上で規制緩和に言及し、航空セクターが買われる。あわせて高速鉄道構想で日本の新幹線を評価したのは本気か? それとも日米首脳会談前のリップサービスか? 原油先物価格は上昇して53ドル台。リスクオンで金先物価格は6営業日ぶりに反落した。

 12月の卸売在庫は+1.0%で市場予測と同じ。卸売売上高は+2.6%で市場予測+0.5%を大きく上回った。新規失業保険申請件数は-1.2万人と改善。コカ・コーラの決算は減収減益でEPSは市場予測とほぼ同じだが2017年のEPSの通期見通しを下方修正した。「ヘビーユーザー」トランプ大統領のツイートが世界から注目されても、ツイッターの決算はさえない。利用者は全世界+4%でも最終赤字額は85%拡大。株価は大幅に下落。ホワイトハウスからの「驚くべき税制改革」発言でアメリカの長期金利が上昇し、朝方の為替レートは4営業日ぶりの113円台までドル高円安が進行し113円台前半、ユーロ円は120円台後半。大阪夜間取引終値は19210円で高値引け。CME先物終値は19155円。