住友化学が、豪州・ニューファーム社との間で、カナダおよび中東欧3カ国(ハンガリー、ルーマニア、ウクライナ)における農薬の販売について提携を強化することで合意したと発表。今回の提携により、ニューファーム社の現地法人を通じた住友化学製品の販売は、ブラジル、インドネシア、欧州地域などの地域を含めて計15カ国となる。
カナダでは、ニューファーム社のグループ会社であるニューファーム・アグリカルチャー社を通じて、住友化学のグループ会社であるベーラント・カナダ社の製品を販売。また、ハンガリー、ルーマニア、ウクライナでは、各国にあるニューファーム社のグループ会社を通じて、住友化学の製品の販売を開始する。
今回の合意では、昨年3月から販売を開始している畑作分野のみならず、園芸分野、非農耕地分野、芝分野などの幅広い農薬に加え、住友化学のグループ会社であるベーラント・バイオサイエンス社が製造する植物生長調節剤やBt殺虫剤などの生物農薬も対象としている。また、中東欧3カ国では、エスフェンバレレート(一般名)やピリプロキシフェン(一般名)といった殺虫剤の販売を強化。さらにウクライナでは、ニューファームを通じた販売で、「スミチオン」として世界的に普及しているフェニトロチオン(一般名)の一層の販売強化を図っていくという。
世界的に食料需要が増加し、農薬市場が拡大している。住友化学も、海外での除草剤の売上が堅調に推移した結果、売上高が前年同四半期に比べ117億円増加、営業利益も12億円増加している。今後も新興国の経済成長や人口増加に伴って、その市場は拡大を続けるであろう。化学工業日報によると、住友化学もインドにおける製剤工場の生産能力を約20~30%引き上げるなど、この拡大傾向への対応を進めいている。世界規模で見ればシェアの低い日本企業であるが、この伸長に乗じてシェアを拡大することができるのか、今後の動向に注目が集まるところであろう。