野村総研がシンガポール現地法人をアジア事業展開の中核拠点へ

2012年03月21日 11:00

 野村総合研究所(NRI)が、グループ会社であるノムラ・リサーチ・インスティテュート・シンガポール(NRIシンガポール)の商号を「ノムラ・リサーチ・インスティテュート・アジア・パシフィック」(NRI APAC)に変更し、増資をすると発表。NRIシンガポールをアジア事業展開の中核拠点として位置づけ、アジア地域における事業の強化・拡大を加速させるとのこと。

 長期経営計画「ビジョン2015」において「中国・アジア事業の強化・拡大」を事業戦略の一つに掲げ、海外事業の拡大に重点を置いているNRI。その一環としてNRIシンガポールは、2011年11月に設立したノムラ・リサーチ・インスティテュート・インディア(NRIインド)を、既に子会社化。さらに今回のノムラ・リサーチ・インスティテュート・ホンコン(NRI香港)完全子会社化などにより、域内プラットフォームの拡大に対応、持株会社としての役割を拡充する。また、NRI APACの持株会社機能拡充にあわせて同社の資本金を16億円に増強、アジアにおける一体的な事業運営サポート体制を構築する。

 NRI APACには新たに経営管理の専任者を設置し、地域内拠点支援体制を構築、NRIとNRI APACが連携しつつ、域内事業のサポートを行い、今後域内の子会社の総務的な業務を共通化するなど、効率的な業務運営を目指す一方、M&Aや今後のアジア拠点展開などの事業戦略の実現に向けて、迅速に対応できる体制づくりを目指すとのこと。

 かつてはアジア貿易の拠点として反映し、現在では情報ハブを目指して様々なインフラが進められているシンガポール。中国や東南アジア、太平洋地域へのゲートウェイとして位置づけられ、世界中から数多くの多国籍企業が進出している。業務の効率化・迅速化を推進するとともに、さらなる事業拡大を目指すNRI APACが、アジア地域の中核拠点としてシンガポールを選択したのは、こういった背景を反映したものと言える。製造業の拠点が中国やインド・インドネシア等のアジア全域に広がる中、今後もその中心に位置するシンガポールに非製造業が集まり、機能集約が進む傾向は広がるであろう。