オシレーター系指標は、前週末も前々週末と同様に「買われすぎ」シグナルも「売られすぎ」シグナルも点灯していない。25日移動平均乖離率は+0.53%。RSI(相対力指数)は59.1。25日騰落レシオは109.11とやや高め。サイコロジカルラインは5勝7敗で41.67%とやや低め。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は74.5。RCI(順位相関指数)は+16.7。ボリュームレシオは40.45でやや低め。総じて言えばニュートラルだった。
2月17日時点の需給データは、信用買い残は10日時点から788億円増の2兆4139億円で2週ぶりの増加。信用倍率(貸借倍率)は2.49倍から2.55倍に増加し2週ぶりの増加。信用評価損益率は-6.78から-6.08へ2週連続で改善。2014年1月24日以来の低水準で、週間騰落144円安にもかかわらず投資家心理はさらに改善していた。裁定買い残は533億円増加の1兆6859億円で2週ぶりに増加していた。週間騰落が週替わりで上がったり下がったりするので、需給データも「2週ぶり」が多く、週ごとに増減を繰り返している。値動きも需給も典型的なボックス相場の様相を呈している。
2月13日~17日の投資主体別株式売買動向は、外国人は763億円の2週ぶりの売り越し、個人は122億円の2週ぶりの買い越し、信託銀行は539億円の3週連続の売り越しだった。週間騰落が460円高から144円安に変わったので、外国人、個人の売り越しと買い越しが逆転している。
前週5日間のカラ売り比率は、20日が39.1%、21日が35.7%、22日が37.2%、23日が38.2%、24日が37.9%。40%を一度も超えなかった。日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)も24日終値は17.27で、17日終値の17.37から0.10ポイント下落した。前週は前々週に続き一度も18を超えていない。前週の東京市場は為替の円高進行で始値が大幅安で始まったり、ザラ場に仕掛け売りで急落したりしたので波乱も起きたイメージがあるが、NYダウの10連騰も効いて大局的にはリスクオン基調だった。
さて、前週末24日のヨーロッパ市場は揃って下落。NYダウは終盤に急騰して終了直前にプラスに滑り込み11ドル高で11営業日続伸、11営業日連続史上最高値更新。この「わざとらしさ」は伝説になりそうだ。NASDAQもS&P500もプラス。原油先物市場は小反落したが54ドル台維持。金先物は反騰。ミシガン大学消費者態度指数確報値は96.3で市場予測を0.3ポイント上回り、1月の98.5には及ばないが高水準維持。1月の新築住宅販売件数は+3.7%で伸びが市場予測よりも2.3ポイント低かったが、住宅需要は依然、力強い。アメリカの長期金利が低下して為替のドル円は一時111円台になり、NY時間の終値は112円近辺。ユーロ円は118円台前半。大阪夜間取引終値は19090円。CME先物清算値は19160円だった。
2月28日、トランプ大統領がワシントンDCの連邦議会で初の議会演説を行う。これは年頭の一般教書の代わりで、続いて予算教書が3月13日に出される予定。トランプ政権はいよいよ本格的に始動する。もし、議会演説で減税や財政出動を強調すれば為替はドル高円安に振れると予想される。もし、中国、メキシコ、ドイツとの貿易不均衡や通貨政策への批判が日本にも及んだら、為替はドル安円高に振れると予想される。日経平均は為替との連動性が強くなっているので3月1日は、前者なら高値追いして天国、後者ならボロボロ下がって地獄になるだろう。1日に経済指標の発表が集中する中国のリスクが後退気味なのが、地獄に仏か?
それでも、トランプ演説が比較的平穏で為替が2円、3円動くような事態が避けられる可能性は小さくはない。今週は雇用統計待ちがないので、イベント通過自体が材料の上昇があるとしても比較的安定した週になるはず。週末の国内の経済指標もそれほど心配はいらないだろう。下値は19000~19100円の間で動く雲の上限がサポートラインになり、上限は「超えられない壁」の19500円がレジスタンスラインになってはね返されるという、ボックス相場ならではの予想ができる。
そのボックスの上下の振幅は週を追うごとにだんだん小さくなっていて、そんな「もちあい収れん」のパターンは上放れまたは下放れが間近なサインだとされているが、変化はメジャーSQ週の需給波乱、アメリカ雇用統計待ち、再来週のトランプ大統領の予算教書、オランダ総選挙、FOMCを前にしての思惑が複雑に交錯する来週に来るとみる。今週は2月28日に「トランプの乱」さえなければ、「春の嵐の前の静けさ」になるだろう。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは19000~19500円とみる。
NYダウは11営業日続伸継続中だが、日本にも11営業日続伸継続中の株価指数がある。それは日経ジャスダック平均。今年の新興市場は好調で、大発会の1月4日終値からの騰落を比べると、日経平均は1.6%のマイナスだが、日経ジャスダック平均は7.8%、東証マザーズ指数は10.6%、「どんぐりの背比べ」で大相撲の十両にもたとえられる東証2部指数も6.2%、それぞれ上昇していて好対照。「十両落ちした大関」のようなシャープ<6758>も大発会終値から11.6%上昇し、「幕内(東証1部)早期復帰」を目指して十両優勝しそうな奮闘をみせている。
3月は、新規IPOが上場日が決まっているものだけで22件もあり、「新人デビューラッシュ」でますます面白くなりそうだ。個人投資家が株式投資で「投資妙味」を満喫したければ、やっぱり元気な新興市場か。(編集担当:寺尾淳)