川崎重工が、磁気浮上式高速電動機直結単段ターボブロワ「川崎MAGターボ」シリーズの最大機種であるMAG-M35型を、5台連続受注したと発表。その内訳は、水処理プラントエンジニアリング最大手であるメタウォーターより大阪市中浜下水処理場向けに2台、埼玉県より荒川左岸南部流域処理場向けに3台とのこと。
川崎MAGターボとは、下水処理施設において微生物の働きで汚水を再生させる生物反応槽へ空気を供給する送風機として用いられる装置。今年1月に製造・販売が発表されたMAG-M35型は、400kw級で川崎重工が製造する最大級の磁気浮上式高速電動機直結単段ターボブロワである。主要機器を全て自社開発し、最適化することにより高効率・省エネルギーを実現し電力消費量を低減、総合効率を向上。潤滑油・冷却水を供給とし、軸受制御機能の向上と軸受特性の解析機能を追加するなど、メンテナンス性も向上している。また、従来シリーズと同様に、ブロワ部と制御盤を分離することが可能なため、屋外設置、管廊設置など、様々な設置方法が可能となっている。
今回の受注は、ターボブロアの更新と処理工場新設に伴うもの。下水曝気ブロアの下水処理施設における電力消費量は、約40~50%を占めており、節電意識の高まりから高効率・省エネルギー化のニーズが飛躍的に高まっている。そのため、老朽化した下水曝気ブロアの更新などと相俟って、今後も一定の需要を見込める製品・システムである。
近年、水関連システムがビジネスの場で大きな注目を集めている。元来水資源に恵まれた日本は、水そのものだけでなく浄水装置や治水技術などが優れていると言われる。自治体が浄水処理技術やインフラの輸出を計画するなど、そのビジネス展開は急速に広がっている。国も、インフラ・システム輸出促進調査事業として水分野に係る事業化可能性調査へ予算を割り当てる等、積極的に事業化を進めている。しかし、これらは海水淡水化技術や水道管網の整備ノウハウが中心であり、下水処理関連のシステムはあまり重視されていないようである。そこには何か壁があるのであろうか。もしそうであるならば、その壁を越えた時、下水処理関連システムが大きなビジネスとして一気に飛躍するかもしれない。