従来から日本のエンジニア不足は指摘されており、IPAによれば、2009年時点のエンジニア数に関して米国(330万人)はもとより中国(181万人)やインド(181万人)よりも少なく103万人となっているとのこと。また、OECDによれば、12年時点の理工系学生の年間数も韓国の26.6万人と大きく差をつけられ15.7万人にとどまっている。
AI・IoTの活用が鍵を握るニューエコノミーの規模が加速度的に拡大していくなか、人材不足が世界的には数万人規模との見方もあり、深刻な課題となっている。優秀な人材の獲得合戦も熾烈を極めており、資本のある大企業以外は参入が難しくなっているのが現状だ。トップクラスのAI人材では7~8割がグーグルかフェイスブックに所属しているともいわれており、国際競争力の面で日本は大きな後れをとっている。
日本においては伝統的な人事制度が優秀な人材獲得のハードルになっており、グーグルがコンピュータサイエンス学科の新卒を年収2000万円で採ることを考えると、日本の企業が年収300万円台しか提示できなければ当然不利な立場になる。これは新卒に限ったはなしではなく、総合求人情報サイト運営のディップによれば、日本におけるAI人材の平均年収は約651万円にとどまっているとのこと。
従来から日本のエンジニア不足は指摘されており、IPAによれば、2009年時点のエンジニア数に関して米国(330万人)はもとより中国(181万人)やインド(181万人)よりも少なく103万人となっているとのこと。また、OECDによれば、12年時点の理工系学生の年間数も韓国の26.6万人と大きく差をつけられ15.7万人にとどまっている。こうしたなか、自前でAI・IoT人材を育てる方針を打ち出す企業も増えてきている。三菱電機は20年までにIoT人材を100人規模で育成するほか、損保ジャパンはAIやビッグデータの活用人材の養成機関を設立し、優秀人材をSOMPOホールディングスで採用する。
優秀なAI・IoT人材を囲い込むことは自動車産業などで従来からデータを活用してきた企業だけでなく、あらゆる領域で競争力を維持するのに必須となる。そうした意味においては、企業では組織や制度の設計から根本的に見直して戦略立案することが重要となる。また、国際競争力のある企業を排出するために国家単位でのAI・IoT人材育成戦略の重要性が叫ばれており、取り組みが早い段階で成果が現れることに期待したい。(編集担当:久保田雄城)