【今週の振り返り】トランプ・ラリーが終了し259円下落した週

2017年03月25日 11:44

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昨年11月9日919円安、10日927円高は「トランプ・ラリー」という名の4ヵ月以上続いたトレンドの始まりだった。それは今週22日、414円安で終わった。

 取引時間前に為替が若干だが円安に振れたため、日経平均は19000円台を保って小幅プラス、TOPIXはマイナスでスタート。序盤は両指数とも前日終値をはさんだ小動きだったが、9時台後半、日経平均は19000円の大台割れ。この日、国会では「森友学園」の籠池理事長の証人喚問が午前中参議院、午後衆議院で行われ、「何が飛び出すかわからない」という意識がマーケットに働く。日経平均はいったん前日終値付近まで戻したが、10時台にまた大台割れし安値を更新。籠池理事長が参議院予算委員会で「安倍首相夫人の昭恵さんから封筒入りの100万円をもらった」と証言し、株価が下落した。もっとも、こんな材料はすぐV字回復するのが通例。「国有地払い下げで政治家の関与があったと認識」と言いながら具体的な人名を言わないこともあり、日経平均は大台回復だけでなくプラスにも浮上した。しかし長続きせず11時台には一時マイナス。久しぶりに見た、永田町に振り回される兜町。為替のドル円は111円台半ばまで少し円安が進み、前引けは日経平均は26円のプラス、TOPIXは-0.91。日銀買いはどうも入りそうにない水準だった。

 正午からドル円は少し円高方向に動き、後場の日経平均はわずかなマイナスで再開する。すぐプラスに転じ1時すぎまで上昇幅を拡大するが、ストンと下落。籠池氏の証人喚問はおよそ3時間に及んだが、午後も衆議院予算委員会で再開するので怖くて買い上がれないらしい。TOPIXはマイナスでも日経平均はマイナスにならない状況が後場ずっと続く。証人喚問は昼休み中で午後3時に衆議院予算委員会で再開と決まる。ドル円は111円台前半でずっと変わらないが、終盤になると買いが入ってTOPIXがプラスに浮上し、日経平均は大引け直前に19100円にタッチ。高値圏で翌日以降に明るい希望をつなぎながら今週初めてのプラスで終了した。どういう風の吹き回しなのか、日銀のETF買い724億円が入っていた。3月に入って6回目。16回あった12億円と合わせると4536億円で、年間6兆円枠の月割り5000億円まで464億円しかなく、あと1回でオーバーする。

 任天堂は2.10%安で6営業日ぶりの一服。旧村上ファンド出身者が設立したシンガポールの「物言う株主」の投資法人エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが東芝<6502>株の8.14%を「純投資」目的で取得と判明。東芝の株価は6.86%高。売買高1位、売買代金6位、値上がり率9位。自動運転技術でNTT<9432>と提携し、「つながる車」の開発でマイクロソフトと特許パートナー契約を結んだトヨタ<7203>は0.02%安。新興市場のほうは「春のIPOまつり」でデビューした新人、直近IPO銘柄が次々と高値をつけ、咲き始めたサクラの花のようにセカンダリー市場が活況を呈す。多くは「氷河期」が来る前に売り抜けないといけない、が。

 新規IPOは1件。三重県四日市市が本社で、全国でホテル、レストランなどのチェーンを運営するグリーンズ<6547>が東証2部、名古屋2部に新規上場。公開価格1400円より8.6%高い1521円の初値がついた。訪日外国人客を受け入れるインバウンド消費関連銘柄として人気が出るかもしれない。

 日経平均終値は43.93円高の19085.31円、TOPIX終値は+0.21の1530.41。売買高は17億株、売買代金は2兆1905億円。値上がり銘柄数824よりも値下がり銘柄数1037のほうが多い。プラスは17業種で、その上位は石油・石炭、鉱業、不動産、電気・ガス、食料品、保険など。マイナスは16業種で、その下位はその他製品、海運、銀行、パルプ・紙、倉庫、ゴム製品など。上海総合指数は0.10%高だった。

 24日の日経平均は大幅続伸。ヨーロッパ市場は揃って反発し、ドイツは3ケタの大幅高。NYダウは金融セクターを中心に反発してプラスで終わりそうなムードだったが、終了直前に「オバマケア代替法案」が連邦議会下院で採決延期になって暗転、ヘルスケアセクターを中心に急落して4.72ドルの小幅安で終了した。6営業日続落でNASDAQもS&P500も反落。民主党はもちろんオバマケア存続を主張し反対するが、上下両院で多数派の共和党も「この程度の修正では手ぬるい」と保守派が反対し「トランプ・共和党連立政権」にきしみが出た。この法案が通らないと減税もインフラ投資も予算教書もメドが立たないためマーケットは「トランプ政権、立ち往生」とみなし、まさに「トランプ・ラリー」の終焉を印象づけるような出来事だった。

 原油先物価格は続落して47ドル台。金先物は6営業日ぶりに反落。イエレンFRB議長の講演は金融政策に言及しなかったが、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が「年内4回の利上げもありうる」と発言。そんな金利先高感がある中でも新築住宅販売件数は+6.1%で、価格の中央値の3.9%下落が吉と出た。在庫は-3.6%と順調に減少。新規失業保険申請件数は1.5万人増で悪化。フォードは自動運転への投資増を見込んで2017年の収益見通しを下方修正し0.85%安。

 アメリカの長期金利は上昇したが、為替のドル円はNY時間で一時110円台半ばまでドル安円高が進行し、朝方は111円近辺。ユーロ円は119円台後半。大阪夜間取引終値は18900円。CME先物終値は18920円。3月期末の権利配当落ち分約130円を足すと19030~19050円。

 日経平均始値は18円安の19066円。高値は10時30分の19296円。安値は9時3分の19060円。終値は177円高の19262円。前日、政府が発表した月例経済報告は、国内景気の基調判断を「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」で据え置いた。この表現は4ヵ月連続。先行きも「緩やかに回復していく」で据え置き。個人消費、企業収益の判断は引き上げ、海外景気の判断は据え置きだった。

 日経平均、TOPIXは小幅安で始まる。東京時間の為替のドル円は乱高下で始まるが、日経平均は序盤、プラスに転じ棒上げ。19100円を突破して19150円オーバーの水準まで一気に上昇し、TOPIXもプラスに。ドル円も111円台前半で円安方向に振れる。いったん凹んでも9時台のうちに19200円を超える。前日の証人喚問というイベントの通過はやはりそれだけでも好材料のようで、「安倍政権あやうし?」と関心が高かった海外勢の買い戻しが入っている模様。上昇はなおも続き、10時台は75日移動平均線を超え19200円台後半に上がり、19300円まであと4円に迫る。ドル円は111円台半ばで、為替の円安を伴う先物主導の買い出動。その後は11時台まで19200円台後半で安定し、前引けは189円高の19275円だった。