2015年度の国内スマホゲーム市場規模は前年度比3.4%増の9,250億円と堅調に推移

2017年04月23日 12:31

 矢野経済研究所によると、2015年度の国内スマートフォンゲーム市場規模はメーカー売上金額ベースで、前年度比103.4%の9,250億円と堅調に推移した。2012年以降にリリースされた「パズル&ドラゴンズ」に代表されるヒットしたゲームアプリの売上が伸び悩むなか、大手家庭用ゲームメーカーによる本格的な自社コンテンツの継続的な投入や、爆発的ではないもののヒットタイトルが市場に複数登場したことにより、スマホゲーム市場は安定成長となったとしている。

 2016年に入り、国内市場の成長率は鈍化傾向にある。市場に投入されるゲームに目新しさが薄れ、課金の仕組みやゲーム性に類似性が見受けられるなか、これまでの市場成長を支えたヒットタイトルが出現しにくくなっていることが市場の成長性に影響を及ぼしている。

 一方で、大手家庭用ゲームメーカーの安定的な人気タイトルのほか、今後も馴染みのあるキャラクターを使用した有力コンテンツの投入が想定されることから、市場に好影響を与えることが期待される。

 現下、スマホゲームを取り巻く環境は常に速いスピードで変化している。ヒットタイトルが年々出現しにくくなるなかで、スマホゲームメーカー各社には家庭用ゲーム機と同等レベルの開発技術力や人材確保、また複数、かつ同時進行の開発ラインが求められるとともに、開発期間の長期化に伴うコスト増大といった課題などもある。これまでのように少ない資本で多くのリターン(収益)が得られる状況ではなく、ゲームアプリ開発には相応の負担を強いられる状況にある。

 一方で、こうした要件を満たすことのできる企業は限られており、今後は小規模事業者の淘汰と同時に、有力なコンテンツを有するゲームメーカーの市場寡占化が進むものと考える。

 昨今のスマートフォンの普及に伴い、家庭用ゲームメーカー各社はスマホゲーム開発に移行している。2016年から任天堂が本格的に市場参入をし、同社の有力コンテンツの積極的な展開がさらに期待されることなどから、2016年度の国内スマホゲーム市場規模はメーカー売上金額ベースで前年度比102.2%の9,450億円、2017年度は同101.6%の9,600億円と安定的な成長を予測する。

 また、国内市場が成熟しつつあるなか、ゲームメーカー各社は海外市場の将来性に着目し、海外進出の動きを見せている。これまでも海外市場へ参入するゲームメーカーはこれまで複数社あったが、いずれも現地への継続的なゲームアプリの投入には至っておらず、市場参入と撤退を繰り返す状況にあった。現在は現地企業との連携や協業、現地に合わせたコンテンツ開発体制を構築するなど、海外市場を見据えたゲームアプリの投入を目指す動きも活発化している。なかでも日本との文化的な親和性の高いアジア諸国を中心に海外進出が進むものと考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)