「2020年を新憲法施行年にしたい」安倍総裁

2017年05月04日 06:45

 安倍晋三総理は憲法記念日の3日開かれた憲法改正を求める集会に自民党総裁としてメッセージを寄せ、「憲法は国の未来、理想の姿を語るもの」と持論を展開したうえで「私たち国会議員はこの国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための具体的な議論を始めなければならない、その時期に来ている」と憲法改正時期にきていると強調した。

 特に、安倍総裁は「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい、と強く願っている」と自らの思いとして、改憲後の施行時期を2020年と区切った。

安倍総裁は「自由民主党総裁として、憲法改正に向けた基本的な考え方を述べた」とし、「憲法改正に向け、ともに頑張りましょう」と改憲を目指す出席者らに呼びかけた。

 また、戦争の放棄、戦力不保持を規定する憲法9条について「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値するのだろうと思う」と抑制的な表現で議論を提起した。

 NHK世論調査でも「憲法9条」改正については、必要は25%、改正の必要はないは57%と改憲の必要はないとする回答が多く、9条の条項が戦後70年の歴史の中に果たし続けている役割と重みを認識している世論の多いことがうかがえる。こうした世論も踏まえ、自衛隊を憲法に明文化することの是非の議論をするくらいは良いのではとする抑制的なニュアンスで議論を提起したとみられる。

 その一方で、安倍総裁は「多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が、今なお存在している。『自衛隊は違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは、あまりにも無責任です」と日本共産党を意識したかのメッセージも織り込み「少なくとも、私たちの世代の内に自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、自衛隊が違憲かもしれないなどの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます」と、憲法での明文化の必要を強調してもいる。9条について、国民全員が子孫のためにどうあるべきかを考えることが求められている。

 憲法9条1項は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。

 憲法9条2項は「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」。(編集担当:森高龍二)