子育て経済的援助を行う企業もある、ユニークな社内制度

2012年03月05日 11:00

 過去には「カジュアルフライデー」や「リフレッシュ休暇」など、面白制度や独自の福利厚生として取り上げられてきたこれらの社内制度は、今や当たり前のものと言っても過言ではない。だが、現在ではこの企業にしかないというような画期的な社内制度も多く存在するし、また、就業にあたって困っている社員の声を制度化したものもある。

 小林製薬は新製品のアイデアと業務改善に関する提案などを呼びかけ、全社員参加経営を実践する「社員提案制度」があり、製品化された場合は最高100万円の社長賞などをもらえる。他にも会社に貢献した従業員や新しい試みで成果を上げた従業員に、社長から社員に向けて発信する「ホメホメメール」などいくつものユニークな社員制度を設けている。

 日本食研は年末に「社内年末ジャンボ宝くじ・ご家族お年玉」というイベントを行い、5本ある一等賞金100万円などに当選する可能性があるくじを勤務年数と同じ枚数分が支給される。同社も複数の制度を設け、従業員のモチベーション向上に努めている。

 こういったユニークな社内制度を持つ企業もかなり存在するが、最近では子育てを就業先の企業が支援するケースがかなり増加しており、女性に限らず男性の育児休暇を積極的に導入する企業も多く、この制度はスタンダードなものとして一般的に認知されている。

 他にも注目される子育て支援のための社内制度がある。

 丸紅は育児休暇などから従業員が復職する際、認可保育所に入れず”待機児童”となり、困窮する可能性があるという現場の声を反映する形で「復職時保育サポート手当」という制度を2010年10月より導入した。これにより、ベビーシッターなどの保育サービスを利用した際の費用が月額10万円を超えた場合、同社が最大で20万円まで負担してくれる。この制度は最長6ヶ月間の補助が可能で、その間に保育所の手続きなど、育児に関する解決方法が見つけやすくなるという。

 住宅業界で育児サポートを制度にしたのがアキュラホームだ。同社は2008年4月より「しあわせ一時金制度」を導入し、従業員の出産時に祝い金を支給している。その金額は1人目が30万円、2人目が50万円、3人目以降は1人につき100万円と高額だ。この背景として少子化があり、若い世代が子供を設けにくい環境のひとつである経済面を企業側でバックアップする制度となっている。この制度には、社内的に少しでも少子化傾向をなくし、従業員達が子宝に恵まれ、幸せな家庭を築いて欲しいという経営者の思いも込められているという。

 従業員にとって働きやすい環境づくりのために、企業は様々な制度を導入・検討しているが、子育て支援制度のように、就業時以外の部分(親の立場など)に及ぶものは、良い精神状態で業務を遂行するうえで、非常に重要だと言える。今後もこのような制度は増えていくと思われる。