東京商工リサーチによると、韓国に進出している日系企業は393社で、715拠点を構えていることがわかった。産業別では、製造業が253拠点で最も多く、次いで卸売業の206拠点だった。日系企業は隣国である韓国を製造拠点とする一方、流通面でも有望市場として重視していることが浮き彫りとなった。
5月9日、韓国大統領選挙の投開票日を迎えた。同日深夜には大勢が判明する見通しだ。2割を超えるとされる浮動票や、朴槿恵(パク・クネ、自由韓国党)前大統領の罷免・逮捕の影響がどう出るか、選挙結果が注目されている。大統領選の主要候補は、いずれも雇用創出や格差是正などの経済政策を掲げている。日韓関係だけでなく、今後は人件費や市場動向など経済的な面の動向からも目が離せない。
産業を細分化した業種別では、715拠点で最も多いのは「卸売業(耐久消費財)」の154拠点だった。日本の総合電機メーカーや自動車メーカーが、サムスンや現代などの韓国メーカーが強力な市場とブランド力を誇る韓国市場を重視していることがわかる。また、「電気機械器具製造業」や「一般機械器具製造業」、「化学品及び関連品製造業」も上位に並び、日系企業は韓国国内での製造にも幅広く関わっているようだ。
一方、進出があまり進んでいない産業も見受けられる。建設業は4拠点、金融・保険業は10拠点のみで、財閥を中心とした韓国独特の経済構造が日系企業の参入を阻んでいる可能性もある。ただ、新大統領の経済改革の展開次第では、日系企業に新たな参入余地が生まれることも想定される。いずれにしても、新大統領の政策手腕を注意深く見守る必要があるとしている。(編集担当:慶尾六郎)