日産が、新世代車両設計技術である「日産CMF(コモン・モジュール・ファミリー)」を、2013年以降発売する新型車の車両開発に導入すると発表。コストの低減だけでなく、従来はアッパークラスを中心に採用されていた新技術を、幅広いセグメントに対し同時かつタイムリーに適用することも可能になるという。
「日産CMF」は、車両構成をエンジンコンパートメント、コックピット、フロントアンダーボディ、リヤアンダーボディを4つのモジュールとし、更に、電子部品をまとめる電子アーキテクチャーを加えて、それぞれのモジュールに適切なバリエーションを用意、これらのモジュールの組み合わせを変えることで、製品を設計する技術。モジュールの組み合わせにより、小型車から大型車、また、SUVのような車高の高い車までを効率よく、かつ高度な要求性能レベルに応え設計することができるとのこと。
グローバルでの競争環境が厳しくなる中で生き残るためには、商品力を飛躍的レベルに向上させる必要がある。その実現のためには、個々の新車開発における際立つ個性の創出だけでなく、低燃費、安全、IT系など新技術開発成果のタイムリーな車両適用、さらには、車両構造、コンポーネント、部品の大規模共用による量産効果の徹底追及といった要素を同時に実現しなければならない。プラットフォームの共有化をかねてより進めており、それぞれのプラットフォームに複数のバリエーションを持たせた車両開発をしている日産は、その解決策として「日産CMF」を導入した形である。
グローバル生産・販売ともに1月度は過去最高を記録した日産。一方で、富士重工が軽自動車の生産から撤退するなど、その生き残り競争は熾烈を極めている。海外での生産拠点・生産能力を増やすなどの方法で各社コスト削減等を実施しているものの、それだけではもう生き残っていくのに十分ではないということであろう。海外への拠点移転がひと段落し、新たな生産体制への変革の時代が来たのかもしれない。