三菱重工<7011>と米ロッキード・マーチンが、航空自衛隊に納入する最新のステルス戦闘機F35Aの国内組立分の初号機を、三菱重工・小牧南工場で公開した。
日本政府は2011年の民主党政権時に、米英等9カ国が共同開発したステルス戦闘機F35Aの合計42機の調達を決定している。42機調達のうち、4機は米国で製造の機体を輸入するが、38機については三菱重工がロッキードから製造を請け負っている。今回公開されたのは、三菱重工の製造請負分の機体となる。
既に米国からの4機の輸入分については、2016年度末までに航空自衛隊に対し引き渡しが完了しており、現在米国で航空自衛隊のパイロットが訓練飛行を行っている。今回公開された国内製造分については、6月以降に国内で試験飛行を行った後に渡米し、米国での訓練飛行を行う予定となっている。
尚、F35Aは2018年度に航空自衛隊三沢基地に配備される予定となっており、当面中国機向けのスクランブル発進は、これまで通りF15が役割を担うことになる。
F35Aは最新鋭のステルス戦闘機であるが、航空自衛隊では既存F4戦闘機の後継機として位置付けられている。F4戦闘機は1958年に初飛行を行いベトナム戦争にも活躍した機体であり、世界にも稼働が珍しい機体となっている。
中国が航空戦力増強の一方で、自衛隊の戦闘機の老朽化、という問題が生じていたが、F35Aの導入により、自衛隊保有の戦闘機は大幅な更新がなされる。しかしながらF15、F2と言った機体の老朽化も順次迫ってくるため、今後も航空自衛隊は機体の更新が迫られることになる。
当面F15が対中国向けのスクランブルの任務に当たるものの、最新型のF35Aの導入により、航空自衛隊の抑止力は大きく強化がなされる。しかしながらF35Aの導入は、単にF4戦闘機の後継機という位置付けのみに留まらない可能性もある。F35Aは機体の追加導入も議論に上がる可能性を有しており、今後F35Aの存在がクローズアップされる機会が増えることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)