パナソニックと福井県あわら市「宅配ボックス実証実験」で再配達49%から8%に大幅減

2017年06月17日 09:08

Panasonic_Delivery_Box

福井県あわら市で、パナソニックが実施した「宅配ボックス設置実証実験」に使ったミドルタイプ〈前出し〉の宅配ボックス「CTNR4020RSC(シルバー)」7万7300円(税抜)、玄関の左に設置したグレーのボックスだ

 パナソニック・エコソリューションズ社は、福井県あわら市の進める「働く世帯応援プロジェクト」に参画し、福井県あわら市在住の共働き世帯を対象とした「宅配ボックス設置実証実験」を2016年11月より開始していた。

 今回の実証実験は、2016年10月18日より一戸建て住宅の共稼ぎ世帯に対して宅配ボックスのモニター募集を開始。11月中にモニターを106世帯に決定し、それぞれの家庭に宅配ボックスを設置した。

 12月1日より実証実験を開始し、宅配ボックスの運用をスタート。12月1日~2017年3月31日の4カ月間の宅配便の配達状況についてモニター世帯にアンケート調査を実施し、延べ417世帯の回答データを集計した。

 この実証実験をまとめた最終結果報告では、宅配ボックス設置により再配達率が設置前の49%から設置後4カ月平均で8%に大幅に減少した。それにより、発表では、約222.9時間の配達員労働時間の削減、約465.9kgのCO2削減と試算されたとする計算結果が出た。

 同時にいくつかも課題も指摘された。大きな問題として宅配ボックスが稼動しなかった理由が挙げられている。宅配ボックスを使用しなかった理由の詳細を調査すると、

「宅配業者がボックスに入れてくれなかった」

「ボックスがいっぱいだった」

「冷蔵・冷凍」

 「大きすぎて入らなかった」などの理由があり、今後の検討が必要な対策も見えてきたという。もっとも多い「ボックスに入れてくれなかった」を解消するため宅配ボックスの存在をアピールする施策が必要との声が多い。

 今回の実証実験の結果をみて、あわら市は、「社会問題化しつつある(宅配便の)課題の解決に、全国の自治体に先駆けて関わることができたことは大変有意義であったと思います」とコメントを寄せた。

 パナソニックは、「繁忙期のみならず、約半年間にわたっての定点観測においても再配達率8%という劇的な結果が出たことにおいて、(今回設置した宅配ボックスは)再配達解消のひとつの商材であることが実証できたと考えています。当社が住宅用宅配ボックスを始めて今年で約25年経ちます。我々の最終的な目標である人が住まうすべての建物にこの宅配ボックスを設置することを目指し、CO2削減、労働力削減に努めていきます」とした。

 また、「あわら市暮らしやすいまち推進協議会」顧問で流通経済大学の矢野裕児教授は、「あわら市は、全国に先駆けて宅配ボックスの設置費用の一部を助成する補助制度を創設することといたしました。全国で宅配ボックスが普及することの一助となり、再配達の解消とともに、CO2削減といった環境負荷の低減や、配達に従事する方々の負担軽減に寄与できるものと考えています」とコメントしている。

 今回の実証実験に使用したパナソニック製宅配ボックスは、2種類。ハーフタイプ前出しCTNR4030RSC(シルバー)6万6100円(税抜)?ミドルタイプ前出しCTNR4020RSC(シルバー)7万7300円(税抜)だった。(編集担当:吉田恒)