三菱商事、カナダで天然ガス開発プロジェクトに参画

2012年02月28日 11:00

 三菱商事が、カナダのブリティッシュ・コロンビア州モントニー地域で天然ガス開発を推進するカットバンク・リッジ・パートナーシップ(以下CRP)の権益を取得するにつき、カナダ最大手の天然ガス事業者エンカナ社と合意、2月末までに権益を取得する予定であると発表した。三菱商事は権益譲渡完了と同時にエンカナ社に約1160億円を支払い、さらに、エンカナ社が権益比率に応じて負担する開発費用の半分を肩代わりするものとして、今後5年間で約1160億円を追加で拠出。今回の参画にあたり新たに設立した子会社を通じて、CRPの40%権益を間接保有するという。

 CRPは、エンカナ社が組成したシェールガスを中心とする天然ガス開発のプロジェクト事業体。CRPの保有資産は40.9万エーカーにも及び、西カナダ堆積盆地において最大且つ最高品質の未開発天然ガス資産の一つとされている。CRPが保有する天然ガス資産の合計可採埋蔵量は、約7.2億トン以上と推定され、これは日本の天然ガス年間需要の約9年分に相当する膨大な量である。ここに今後5年間でCRPとして総事業費約4,800億円以上を投じ、累計約600本以上の生産井を掘削して開発を進め、年間約2,250万トンの生産を目指す。

 新興国の経済発展に伴い、世界のエネルギー消費量が増加する中、他の化石燃料と比べ同じ発熱量に対する二酸化炭素量の排出量が少ないため、クリーンなエネルギーとしての注目が高まっている。また、シェールガスなどの非従来型と呼ばれる天然ガスの生産技術の進化もあって、その生産量はウナギ登りの状況にある。それと同時に、世界のエネルギー資源獲得競争は激化しており、ほぼ全量を輸入に依存する日本への安定供給の為には、今回の権益取得も必要な一手といえるであろう。しかし一方で、メタンハイドレードなど、日本近海に多く埋蔵されているとされるエネルギー資源への投資状況はどうであろう。様々なエネルギー資源や産出国を持つことでリスクを分散させるだけでなく、自前のエネルギー資源を持つことが、安定供給を図る上では重要ではないだろうか。今後は他国での権益獲得の話題ばかりでなく、自前のエネルギー資源への投資に関する話題が、もっと多く聞こえてくることを期待したい。