製品だけでなくサービスも充実化する太陽光発電

2012年02月27日 11:00

 次々と原発が停止する中で、世界中でより一層の注目が集まり、普及が進む太陽光発電。富士経済が1月に発表したところによると、太陽光発電システムの世界市場は2010年に産業用・住宅用を合わせて約5兆7500億円であったものが、2011年見込みで約6兆7200億円、2030年予測では26兆4000億円にものぼるという。この数字を裏付けるように、太陽光発電関連の商品やサービスの展開する各企業が、単なる太陽光発電用の製品からその枠組みを広げ、今年に入ってより一層の攻勢に出ている。

 1月には京セラとニチコンが、太陽光発電と高耐久・大容量のリチウムイオン蓄電システムを組み合わせた新システムを、京セラが国内市場に向けて独占販売することで合意、契約を締結したと発表している。「創エネ」の太陽光発電システムと「蓄エネ」の蓄電システムを連系させ、エネルギーマネジメントによって、エネルギーをより効率的に運用するシステムが市場に投入されることになるという。

 2月23日にも、パナソニックが「24時間、太陽のエネルギーを活かす暮らしへ」として住宅用創畜連携システムの受注を開始。日中は太陽光で発電した電力を使用できる上、余剰電力は蓄電池に繰り返しの充電が可能となっており、蓄電池に蓄えた電力は、日中の電力供給を安定化し、夜間に利用できるシステムであるという。また同日には、中古太陽光電池モジュールの販売事業を展開するネクストエナジー・アンド・リソースと、緊急電気メンテナンスサービスの全国ネットワークを持つラナベイクが共同で、遠隔監視、緊急出動、定期検査をワンストップで提供できるシステムを構築し販売展開すると発表するなど、製品の展開だけでなく、継続使用の為のサービスも拡大が進んでいる。

 さらにオリエントコーポレーションからは、太陽光発電システムの設置工事に関する補償と購入者向けに台風・火災等の自然災害に対する補償で構成された、太陽光発電システム総合補償制度の提供が開始。これも製品展開だけでなく、導入の普及や導入後に安心して継続使用できる為のサービスの広がりを示す好例ではないだろうか。

 積水化学がセキスイハイムに入居した人を対象に行った「太陽光発電実邸アンケート調査2011」によると、技術の進歩による太陽光発電大容量化によって、光熱費ゼロとなった住宅が80%にも上ったという。この数字を見ると、自宅への設置も検討し始めようとする人が増えると考えられる。電気料金の値上げが確実視され、行政による補助金の復活、全量買い取り制度の開始など、今後も太陽光発電の普及を後押しする要素が目白押しである。急速に進む環境対策による屋上緑化と相俟って、日本中の屋根が全て緑かパネルに覆われる日は近いのではないだろうか。