高齢者人口の増加によって、介護保険制度上の要支援・要介護認定者数は増加していて、今後、団塊世代が70歳代に突入することに伴ってその傾向は続くことが見込まれるだろう。介護者は、とりわけ働き盛り世代で、企業の中核を担う労働者であることが多く、企業において管理職として活躍する方や職責の重い仕事に従事する方も少なくない。介護は育児と異なり突発的に問題が発生することや、介護を行う期間・方策も多種多様であることから、仕事と介護の両立が困難となることも考えられている。
そんな中、労働政策研究・研修機構は、介護離職をはじめとする仕事と介護の両立困難の実態と両立支援の課題を明らかにするため、介護期の働き方や両立支援制度の利用状況、離転職の経験、要介護者の状態や家族との介護分担、介護サービスの利用状況、介護者の健康状態等を調査した。
それによると、介護のために仕事を休む労働者は少なくないが、介護休業を長い期間取得するより、短い期間の休暇・休業で両立を図る割合が高いことがわかった。
家族介護者の離転職状況については介護開始時に身体介助の必要性が高い場合や、認知症による見守りがいつもある場合には、介護開始時の勤務先を離職し、非就業になる割合がやや高い。また、介護の準備・手続きを担っている場合や、自分以外に介護を担う家族がいない場合にも、介護開始時の勤務先の離職割合は高いという結果だった。
勤務先の両立支援制度と離転職状況は、介護開始時の勤務先に介護休業制度がある場合、離転職割合が低くなる。法定を超える介護休業制度としては、分割取得ができる場合に離転職割合が低くなる。また、介護休業制度に加えて、残業や休日労働を免除する所定外労働免除の制度がある場合は離転職割合が低くなる。
介護のために仕事を休む日数は、介護開始時の勤務先で 1 週間を超える期間連続して仕事を休んだ経験がある正規労働者の割合は 15.1%。その日数は「2 週間以内」の割合が最も高い。また、現在正規雇用で就業している調査対象者の約半数が、過去 1 年間に介護のために仕事を休んでいるが、その日数が 7 日を超える割合はやはり低い。(編集担当:久保田雄城)