党首討論中継の様子見で売買代金1兆円割れ

2012年11月30日 11:00

 自民党の安倍総裁が前夜、講演で追加金融緩和に前向きな発言を行い、ドル円が82円台前半の円安に振れ、前日のNY市場が106ドル高だったことを受けて、29日の日経平均は反発し61.94円高の9370.29円で始まった。前場は手がかり難もあり値動きが小さくもみあいに終始したが、後場は対ユーロの円安の進行を好感して先物主導で9400円台に乗せ、終値は92.53円高の9400.88円。9400円台をギリギリで維持するところに「月末のドレッシング買い」の気配がなきにしもあらず。午後8時からの党首討論ネット中継の結果を見守りたいという様子見ムードが出て、売買代金は9991億円と10日ぶりに1兆円を割り込んだ。

 TOPIX33業種は32業種が上昇。海運、鉄鋼、空運、パルプ・紙や非鉄金属、繊維など広く買われ、自動車もトヨタ 、ホンダ 、富士重工 が揃って上昇。古河電池 が「金属空気電池」の大容量化技術を開発と報じられて80円高。日経平均寄与度が高いファーストリテイリング は10連騰を達成した。22日に「今冬は寒くなる」という気象庁の3ヵ月予報が出て、「ヒートテック」が今年も売れるという読みか。東洋紡 は日経新聞に記事が出てまた買われた。夜の党首討論をネット中継する「ニコニコ動画」のドワンゴ は年初来高値更新。下落業種は保険だけだったが、アステラス製薬 、KDDI など内需ディフェンシブ系大型株の中に売られる銘柄が出ている。

 今日の主役は日経新聞で「私的整理で再建を目指す」「約40行が600億円の債権放棄に応じる」「新日鉄住金に支援を要請」と報じられた中山製鋼所 。前場は売られたが、その後は急反発して終値は値上がり率が55%にも達し、断然トップ。売買高もトップだった。会社から「現時点で決まった事実はない」というコメントが出たものの、金融機関と新日鉄住金 の支援を受けられれば業績が持ち直すだろうという思惑で買いが集まった。新日鉄住金は5円高だった。