日米FTA、米国は強い意欲。日本はTPP11優先で交渉優位の戦略か

2017年10月22日 10:45

画・日米FTA、米国は強い意欲。日本はTPP11優先て_交渉優位の戦略か

16日、2回目の日米経済対話が行われた。TPPの重要性を強調する日本側と日米2国間のFTAを熱望する米国と対話は平行線のまま終わった。日本としては米国抜きのTPP11を先に発効させ2国間FTA交渉で優位に立つ戦略のようだ。

 16日、米国のワシントンにおいて2回目の日米経済対話が行われた。日本側は麻生太郎副総理兼財務大臣、米国側はマイク・ペンス米国副大統領が出席した。

 この対話の中で、2国間の貿易事項に関し、日本産の柿及びアイダホ産馬鈴薯に対する制限解除および日本が行う米国産自動車の騒音及び排出ガス検査手続の簡素化、日本の地理的表示制度について国内法手続の透明性及び公平性の確保、ライフサイエンス・イノベーションに関する償還政策について透明性を確保することが確認された。また、日米相互の経済的利益及び雇用創出の促進を目的に、交通インフラ投資増大、第三国におけるインフラ整備等の促進、液化天然ガスや民生用原子力,エネルギーインフラ等を含むエネルギー連携、グローバルな競争条件の公平化、デジタルエコノミーでの連携、女性の経済参画を含む包括的な労働力参加等の分野において議論を深めていくことを合意し、成果文書として公表された。

 今回の対話で注目されるのは、ペンス副大統領が麻生副総理とのやり取りの中で日米2国間でのFTA(自由貿易協定)について交渉を開始することを強く要望したことである。これに対して麻生副総理はTPP(環太平洋経済連携協定)の重要性について説明し理解を求めた。これに関し野上浩太郎官房副長官は17日の記者会見で「どのような枠組みが日米双方にとって最善かを含めて建設的に議論していきたい」旨のコメントを出すにとどめ、2国間FTAについては慎重な姿勢を示した。

 FTA交渉に入った場合、農畜産分野で更なる市場開放を求められることは必至で外務省は直ちには交渉に入らない意向を示している。正式に発表された成果文書には日米2国間FTAについて直接的な文言は盛り込まれていない。

 日本側としては、アメリカ抜きのTPP11の発効を先行して実現し、日本がアジアの多国間貿易交渉の主導権を握り、米国をTPPに戻すか2国間FTAで交渉優位な立場をとりたいと考えているようだ。一方、アメリカン・ファーストを掲げるトランプ政権は、多国間協議より米国が有利な交渉が可能と判断している2国間交渉に貿易協定戦略をシフトさせている。韓国が米国とのFTAの再交渉を受け入れたため、米国はさらに日本への圧力を強めると予想される。日本側は直ちに交渉入する状況にはないとしているが、11月のトランプ大統領の訪日時に首脳会談の中で米国がこの2国間FTAの交渉入りを強くせまってくることは間違いないだろう。(編集担当:久保田雄城)