ソニーが認証型コンセントを開発

2012年02月16日 11:00

 近い将来、我々の電気利用に対する認識が大きく変わるかもしれない。もはや「省エネ意識が高まっている」と表現すること自体が古くなり、特別な意識なくして省エネ活動をすることが当然となりつつある。しかし電気を使う場面での行動は、省エネ製品を選択する、こまめに電源を切るなど、送られてくる電気に対して受動的な対処が主立ったものである。この受動的な対処から脱却し、利用者自らが管理することができるシステムをソニーが開発したのである。

 電気を利用する際に必ず通るインフラであるコンセント。このコンセントに着目し、交通乗車券や電子マネーなどに利用されている非接触ICカード技術を応用した「認証型コンセント:FeliCaタイプ」と、同技術をベースに開発された新技術「電力線重畳通信技術」により電源ケーブルを介して電気機器認証を行う「認証型コンセント:電力線重畳通信タイプ」との2種類の「認証型コンセント」の開発がそれである。

 「認証型コンセント:FeliCaタイプ」は、機器のプラグにアンテナと接続されたICチップを内蔵し、コンセント側にはアンテナと接続されたリーダー/ライターやコントローラーを組み込む事で実現。一方「認証型コンセント:電力線重畳通信タイプ」は、電力線に認証データを載せて、電気機器と電源供給側との相互認証を可能とする技術。非接触ICカード技術ではICチップとリーダー/ライター間の通信を、アンテナを介して無線で行うが、本技術ではそれを物理的な電力線を経由して行う。

 「認証型コンセント」が普及すると、電気機器(家電製品や電気自動車など)の所有者の認証、機器ごとの電力管理・利用、電力利用の許可、過去の電力利用履歴の記録や、電子マネーとの組み合わせによる電力課金・決済などが出来るようになる。また電気機器ごとの電力利用管理から、使用する機器を通して利用者の電力利用状況(電力量や利用履歴)も管理することができる制御システムの構築が可能となる。

 カフェやラウンジ・電気自動車の充電など、自宅やオフィス外で電気を利用する際、このコンセントが利用できれば、自らが使いたい分だけその電気料金を支払って利用することが出来る。逆に、ビルの共用部分にあるコンセントについて、認証機器以外は通電しない「盗電防止」コンセントを設置することも可能である。さらに自宅やオフィス内でも、消費電力の見える化により、冷蔵庫などの常に通電の必要な機器とそうでない機器との管理が容易に出来るようになるのだ。

 従来は、その建物や区画などの単位で消費電力が算出されていた。しかしこれが、電力を使う機器や人によって算出出来るようになったということである。電気利用というものが、受動的な省エネ活動の対象ではなく、利用者自らがそれ管理する対象となる。今回の開発は、日常生活における電気利用に対する認識を変える端緒となるかもしれない。