デンソー、自社製SiCパワー半導体を内蔵したインバータ、2020年に自社生産

2017年10月30日 06:15

Denso_TMS_2017

デンソーがブースに展示した自動車内部のデンソーECUやインバータなどが、何処にどのように配置され、どのような役割を果たしているのかが、分かりやすく展示した

 デンソーが「第45回東京モーターショー2017」に出展し、開催したプレスカンファレンスで、「電動化と自動運転のふたつ分野に、2020年までの3年間で5000億円を投資する」と発表した。

 同社の研究開発費は「直近3年間で約1兆円」に上っているが、その5000億円は研究開発費の半分に相当し、自動車の電動化と自動運転に対する意気込みが、尋常ならざるものだと伝わってくる。

 デンソーは、よりよい未来のモビリティ社会を形作る注力技術分野は、以下の3つだとしている。それは、「DENSO Automated Driving」「DENSO Efficient Driving」「DENSO Connected Driving」であり、それらを統合して「Core Technologies for Future Mobility」と名付け、積極的に技術開発を進めている。

 今回の東京モーターショーでは、これらの注力技術分野を元にデンソーが目指す方向性について、空間移動型VR(バーチャルリアリティ)やモックカー、最新製品展示で、わかりやすく解説した。

 ブースに展示したモックカーは、通常では見ることのできない、クルマの内部に搭載されているデンソー製品を一元的に紹介した。

 なかでも注目は、カンファレンスで発表した電動化に向けた取り組みとして、SiCパワー素子を用いたインバータを「2020年ごろに量産する」としていること。「SiCを用いると、損失を1/3に抑えられる」と、SiCパワーデバイスの利点を強調した。デンソーはSiCの材料から開発を進めており、その結晶品質は大幅に向上しているという。他社品に比べて、結晶欠陥(転位密度)を約1/10にできたという。SiCパワー半導体の量産は、国内でも数社にとどまり、デンソーが量産化すれば、市場の構成比にも影響を与えそうだ。(編集担当:吉田恒)