三菱電機、自動運転を目指す車載装置「EMIRAI4」、東京モーターショーで

2017年10月28日 07:43

Mitsubishi_EMIRAI

環境に優しく事故のないスマートモビリティ社会を目指し、自動運転車を構成する周辺技術を搭載した三菱電機が開発のコンセプト「EMIRAI4」

 三菱電機は、10月28日から一般公開となる「第45回東京モーターショー」で、自動運転車の実現を目指し、車載表示装置の将来を見据え開発したコンセプト「EMIRAI4」(イー・ミライ4)を展示した。

 拡張現実感(AR)を採用したヘッド・アップ・ディスプレー(HUD)や、ふたつの液晶ディスプレーを使って「浮遊感と奥行き感」を実現した車載メーター、可動式の回転ダイヤルを備えた大型のセンターディスプレーなどを搭載する。同社では2020年以降の実用化を目指すとしている。

 ARを使ったHUDは、運転者が見ている風景に文字やイラストなどを重ねて表示。HUDで生成した映像をコンバイナー(表示部)に反射させ、その映像と対象物の位置を重ね合わせるように制御して実現する。

 三菱電機は、高精度地図データと準天頂衛星「みちびき」による高精度な測位技術などを組み合わせて、車載カメラで認識しにくい状況で車線の位置などを高い精度で推定する技術を開発した。

 準天頂衛星などで自車位置を数cmと高い精度で把握し、車線の位置情報を記録した高精度地図データ上で前方のどの位置に車線があるのか推定する。

 「EMIRAI4」に搭載したAR&HUDの特徴は、この高精度な測位技術を使って吹雪や大雨などの車線が見えにくい環境下でも、自車が進むべき道路や車線をHUD上にイラストを重ねてAR表示する。

 これまでのHUDは、数mから10m先までしか表示できなかった。が、「EMIRAI4」に搭載したHUD部は、50m先と遠方まで表示できる。

 また、液晶化が進む車載メーターでは、視認性を確保しつつ表現の幅を広げた。搭載したメーター表示部にはく2枚の液晶ディスプレーによるクロッシングディスプレーとし、高い視認性を保ちながら、リアルな浮遊感・奥行き感のある表示が特徴だ。

 大型のセンターディスプレーを搭載するクルマが増加傾向にある。米テスラ社が「モデルS」や「モデルX」に17型モニターを縦置きで採用し、トヨタ・プリウスも11.7型ナビを採用した。これらのディスプレーはタッチ操作が必要で、そのためにディスプレーを目視する必要があり、わき見を誘発する原因につながる。

 そこで三菱電機は、18.5型のディスプレーにタッチ操作に加え、コンソールに配置したダイヤルを組み合わせ、画面上を見なくても車載機器を操作できるようにした。また、回転操作に加えて、左右にも動かせるのが特徴だ。

 同時にドライバー監視システムも進化した。運転者の顔の向きや視線情報を1台の広角カメラでモニターし、脇見や居眠りなどの異変を確認することで、自動運転から手動運転へ安全でスムーズな切り替えをサポートする。

 環境に優しく事故のないスマートモビリティ社会を目指し、三菱電機が開発した「EMIRAI4」、自動運転への周辺技術開発が進んでいることをうかがわせる。(編集担当:吉田恒)