トヨタ自動車グループのトヨタ車体が、10月28日から一般公開する「第45回東京モーターショー2017」で、極めて近い将来のユニークなコマーシャルヴィークルのコンセプトカーを出展し注目を浴びている。それが「LCV CONCEPT(ライト・コマーシャル・ビークル コンセプト)」シリーズ。キーワードはコンパクト・フレキシブル・マルチユースと商用車として、しごく真っ当な目標だが、出来上がっているショーモデルの完成度はかなり高い。
商用車としての利便性に加えて、耐久性や経済性、積載性などを高めた車両を目指した開発した「LCV CONCEPT」。今回の東京モーターショーだけでなく、今後、さまざまな展示会への出展を通して、国内外からの意見を広く集めて開発に生かす考えだ。
「LCV D-CARGO CONCEPT」は、小口の配送用ビジネスの拡大を見越したデリバリー&コマーシャルバンとしての利用を想定している。今後、増加するとみられる女性配達スタッフにも優しい摂家とした。
特徴は左側前部ドアが前方に、左側後部ドアが後方にスライドして開閉すること。これにより、後部荷室部分の荷物が出し入れし易くなる。配送作業中の運転者が、運転席から簡便に荷室に移動できるように設計。配送作業での乗り降りの負担を減らし、配達荷物を助手席側だけで完結でき配達効率が高まる。
また、大きく前方にスライドする左側前部ドアの採用で、助手席スペースもカーゴスペースとし長尺物の積載も可能とした。リアゲートは狭い駐車スペースでも開閉しやすい上下分割式とした。
車両寸法は全長×全幅×全高4700×1735×1885mm。車内寸法は車内長3500×車内幅1550×車内高1345mmで、乗車定員は1人である。このボディサイズは、トヨタの人気車種「ハイエース」のワイド版よりも小さく、4ナンバーサイズのナローなハイエースに比べて40mmほど幅が広いだけ。これなら狭い路地が多い東京都内の住宅地でも難なく入って行けそうだ。
運転席は細いAピラーや広いサイドウィンドウなどで視界がいい。また、ステアリング中央に着脱可能なタブレット端末を据え、配達情報を提供する。
トヨタ車体ブースでは、派生モデルとして「LCV BUSINESS LOUNGE CONCEPT」のインテリアも展示している。ビジネス用リムジンとしての利用を想定して設計し、助手席部分にスーツケースや機材などを納められる空間を設けた。後部荷室部分に大型のキャプテンシートを2座配置し、搭載する大型の液晶ディスプレーによって、移動しながらテレビ会議に参加することができる。
3車種目として「LCV ATHLETIC TOURER CONCEPT」も展示する。特徴は、車いすの利用者アスリートが使いやすい車両であること。車いすマラソンや車いすテニスなどに参加するアスリートが一人で楽に競技用車両に積み込み、自分で運転できるように設計したという。スロープを利用して車いすで乗り込む場合、車高を一時的に下げる機能を搭載している。
近い将来、トヨタの商用バン「ハイエースの新型として登場したら?」と想像させられる魅力的なクルマである。(編集担当:吉田恒)