自動車メーカー各社が、10月の生産・販売・輸出実績を発表。各メーカーとも概ね、国内は販売・生産とも前年比を下回っているものの、海外生産については、中国での販売不振や減産、欧州の景気低迷の影響により、メーカーごとの明暗が分かれた結果となっている。
ホンダは、国内生産が前年比84.2%、国内販売が同94.1%と共に前年割れし、2カ月連続で減少。しかし、海外生産は前年比120.2%と9カ月連続で増加しており、北米生産、アメリカ生産に至っては全ての月を通して過去最高を記録している。一方で、日本からの輸出は前年比21.5%と大幅に減少しており、特に北米向けに関しては15.2%にまで低下している。
北米の好調さ三菱自動車にもみられる。三菱自動車は、国内生産・販売、輸出が総じて前年比を下回っているものの、海外生産が同208.9%と急拡大したことから、総生産では4カ月連続となる前年比増となっている。中でも北米の生産台数は前年比438.2%となっており、アジアの同214.1%や欧州の同135.4%を大きく上回った。
また先日大型リコールを発表したトヨタは、国内生産が前年同月比83.7%、国内販売が同93.9%と減少。海外生産が前年同月比112.9%と2カ月ぶりに増加し10月としては過去最高となったものの、国内生産と合算したグローバル生産では99.7%となっている。同様にダイハツも、国内販売・生産ともに前年を下回り、海外生産の増加を打ち消している。一方、日野に関しては、国内生産が17カ月連続で前年同月実績を上回り、国内販売や輸出も2カ月連続で増加、海外生産についても、アジアでの増産により、16カ月連続で前年を上回っている。
中国の影響をもっとも受けたのは日産となった。国内生産・海外生産共に減少。国内では新型ノートが台数増となったものの、その他の車両は減少しており、前年同月比で13.0%減となっている。また海外生産については、メキシコや英国については前年比増となったが、中国での同44.0%減が大きく影響した結果、1.7%減となっている。さらに、販売に関しても中国が前年同月比40.7%となった影響が大きく、グローバル販売で同12.0%減となった。
唯一、輸出が前年同月実績を上回ったのがマツダである。他のメーカー同様、国内に関しては生産・販売ともに前年割れをしているものの、北米・オセアニア向けの輸出が増加し、前年比で15.3%増という結果となった。これには、海外生産の増加が他のメーカーよりも少ないことも影響しているであろう。
その他、スズキは、国内生産が3カ月連続で前年をした回った一方で、海外生産はインド・インドネシアなどで前年を超え、2カ月連続で前年を上回っており、世界生産に関しては3カ月ぶりに前年を上回る結果に。また富士重工は、インプレッサの好調さから、国内生産が13カ月連続で前年を上回り、過去最高の台数を更新、販売も5カ月連続で前年越えとなった。これに伴い、輸出に関しても5カ月連続で前年越えとなっている。
北米の好調さが顕著な一方で、その波に乗れなかったメーカーが中国での減少をまともに受けた格好と言える。一部報道では、中国における日系自動車の販売が回復傾向にあると報じられているものの、本格的に回復するにはまだまだ時間がかかるであろう。中国での影響からどういった施策で回復するのか、特に影響の大きかった日産には、注目が集まるところであろう。