丸紅が、アンゴラ共和国・地質鉱山工業省から製糖・バイオエタノール工場新設請負契約を受注したと発表。受注金額は約6億5千万ドルで、同国向けでは既締結済の繊維工場リハビリ3案件(総受注額約10億ドル)に続く大型案件受注となる。
今回のプロジェクトでは、サトウキビを原料とする製糖設備、バイオエタノール生産設備並びに自家発電・排水処理等のユーティリティ設備を、設計、調達から土木・据付工事、試運転まで一括で手掛ける。運転開始は2015年末の予定で、完成すれば、年間約40万トンの製糖及び約4千万リットルのバイオエタノールの生産が可能となり、現在全量輸入に頼っている砂糖の殆どを自国で賄う事が出来ることになるという。
アンゴラ共和国は、1975年から2002年までの長期に亘る内戦で疲弊した各産業分野の大規模な再興計画、雇用対策並びに地域発展が急務となっている。そこでアフリカ各国に積極投資を行っている中国は、アンゴラにも巨額の投資を行っている。そして今や中国にとってアンゴラは、最大の原油供給国となり、アンゴラにとっても輸出入ともに中国は重要貿易国である。現在、先進各国が、原油やダイヤモンド、レアメタル等の鉱物資源にも恵まれているアンゴラの潜在能力の高さに注目しているが、未だ本格始動はしていない様相である。一方、アンゴラ政府は、石油依存型経済からの脱却を図るため、農林水産業、製造業の振興を図っており、今回の丸紅のプロジェクトはその振興策の一環と言えるであろう。
アンゴラに巨額な資本を投じ、その各種利権をかためつつある中国であるが、地元からは「技術の移転がない」「雇用が生まれない」「品質が悪い」などという反発が上がっているという。一方で日本に対しては、工業品を通した「高い品質」「高い技術力」と評判が高い。今回のプロジェクトは、並行して進められるサトウキビのプランテーションと合わせ約15000人規模にも及ぶ雇用創出が見込まれ、雇用創出による地域発展と、同国復興に貢献しうるものである。最後の未開の地と言われるサハラ以南のアフリカにおいて日本企業が存在感を示せるよう、そして先人たちの残した良い評判を汚さぬよう、アンゴラと日本が相互に有益となるプロジェクトとなることを期待したい。