自動車の電装化が飛躍的に進み、日本の電子部品メーカーへの需要増も期待される中、抵抗器のパイオニアであるロームはシャント抵抗器GMRシリーズを発表。最大5Wの高定格電力と、独自の新構造による優れた放熱性能で注目される。
自動車の電装化が進む中、日本の電子部品産業への注目が高まっている。富士キメラ総研が2017年1月に発表したレポートによると、2025年に自動車関連部品の世界市場は44兆5658億円に達する見通しだ。これは2015年比で約14%もの増加となるという。環境や燃費に配慮したエンジン部品や駆動部品を中心に、安全や快適さを高める新機能、Bluetoothなどを利用した通信機能の拡充、既存部品の電子制御化など、自動車向け電子部品の需要は今後も拡大することが期待されている。
もちろん、ひとくちに電子部品といっても、その種類も用途も様々だ。コックピットモジュールやドアモジュールなどに使われる高周波デバイスをはじめ、コネクタやスイッチ、モーター、リレー、スピーカなどに用いられる接続・変換部品、またHVやPHVなどに用途が広がっている高圧コンデンサやフィルムコンデンサ、アルミ電解コンデンサなどの回路部品など、今の自動車は電子部品の塊といっても過言ではないだろう。
日本は世界でも有数の自動車大国だが、電子部品の分野でも世界トップクラスだ。電子制御化が進むにつれて、製品に求められるハードルもどんどん高くなる。より安全で安定した製品であるのは当然のこと、省電力、省スペース、高耐久、低コストであることなどが条件となる。そういった要求に応えられる柔軟性や技術力も日本の部品メーカーの強みだろう。
例えば、電気回路をスムーズに動作させるのに欠かせない「抵抗器」などの部品もその一つ。
実は現在、世界中の電子部品市場で汎用品として使用されている角形チップ固定抵抗器やチップネットワーク抵抗器は、日本の電子部品メーカー・ローム株式会社が世界で初めて開発した製品だ。
同社の抵抗器で今注目されているのが、大電流アプリケーションの電流を高精度に検出し、高信頼化や小型化に貢献するシャント抵抗器GMRシリーズだ。
最大5Wの高定格電力と、ローム独自の新構造による優れた放熱性能を実現。さらには特殊合金を採用する事で、周囲温度の変化による抵抗値の変化が少ない低TCRを実現し、機器動作のばらつきを抑えて高信頼化に応えている。車載用途としてECUやモーター周辺回路に使われる他、産業機器では汎用インバーター、蓄電関係ではパワコン、またエアコンや冷蔵庫などの大型電気機器、各種電源に用いられる。
こういった製品や技術は普段、一般のユーザーが目や耳にする機会は滅多にないものの、自動車の電装化を飛躍的に進めている原動力といえるものだ。いくら便利でも、安全面に問題があれば使えない。そういう意味でも、高い信頼性を得ている日本メーカー製の部品の需要は今後益々増えていきそうだ。(編集担当:藤原伊織)