16日発表の観光庁の資料によれば、2017年の年間訪日客は2869万人で、その消費額は4兆4161億円と4兆円を突破した。同日公表された政府観光局の資料で訪日客数を国別に見ると、中国が735.6万人で全体の4分の1を超え、次いで韓国の714.0万人で、中国、韓国、台湾、香港の東アジア4国・地域で74.2%を占めている。これに次いで米国が124.2万人で、以下タイの98.7万人と東南アジア国が続く。
消費額で見ると、中国が全体の38.4%と4割近くを占め、以下、台湾13.0%、韓国11.6%、香港7.7%、米国5.7%という順である。訪日客は東アジアに偏っているというものの、多数の国・地域から訪れており、観光先や観光の仕方については、国・地域によって、それぞれ違いがあるようである。
観光コンサルタントの「じゃらんリサーチセンター」が、観光目的で訪日した経験のある5カ国(中国、韓国、アメリカ、インド、ドイツ)の外国人500人に対し、観光資源についてアンケート調査を実施した。
調査結果によれば、訪日旅行で経験・実施したことについては、中国人での1位が「自然景観を楽しむ」で64%と最も多く、2位「富士山」が55.0%、3位「田舎暮らしを体験する」52.0の順になっている。また、韓国人では、1位が「心身を癒やす、リフレッシュ旅行」52.0%、2位が「都市公園の散策」49.0%、3位が「温泉」44.0%の順で、同じ東アジアの中国と韓国でも観光の目的・内容に違いがある。
アメリカ人では「自然景観を楽しむ」が52.0%で1位、2位が「神社・仏閣」51.0%、3位が「日本庭園の散策」50.0%と歴史・文化に関することに興味をもっているようだ。「神社・仏閣」はドイツ人では57%で1位、インド人で54.0%の2位となっている。東アジア以外の国では日本の歴史・伝統文化により興味をもっていることがうかがえる。
今後、経験・実施してみたいことについては、消費額の大きい中国で「電化製品の買物」が47%で1位となっており、爆買いブームは終わったとされているものの中国人の訪日時の消費傾向は未だ健在ともいえる。
一方、アメリカ人では「お城」が49.0%で1位、ドイツ人で「日本庭園の散策」が33.0%で1位と、やはり欧米では日本情緒を楽しむことに興味があるようだ。
消費額としては中国や東アジアの国にかたよっていると言えるが、それぞれの国の需要に合わせた観光地ごとの引き込みの工夫・努力によって観光需要がより大きな経済効果を生むようになることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)